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【車衛東弁護士チームニュースレター】2020年11月分(第五号)

中国の最新法令情報や企業によくある法律問題とリスクの予防等について解説するニュースレターの日本語版をお届けいたします。


一、最新法律情報


1.2020年10月29日、深セン市第6期人民代表大会常務委員会第45回会議は「深セン経済特区健康条例」(以下『健康条例』)を採択。

 「健康条例」は深セン市が公布した国内初の地方政府による健康条例で、2021年1月1日より施行される。基本的な健康サービスは実名制を実施し、住民に住民基本的電子健康記録の作成に協力するよう要求している。『健康条例』の中の強制休暇制度はこの条例の中のハイライトの一つであり、雇用単位は合理的な人的資源の配置、従業員の勤務と休憩時間を手配し、頭脳と肉体労働に対する負荷が重い従業員に対して、交代で休暇を取る制度を実行する規定をし、従業員の健康に過度の損失または心身の健康に被害を与えないようにする。この制度は従業員の有給休暇制度がなかなか定着していない現実的な問題の補充として、従業員に必要な休息休暇の権利を更に保障することが可能となる。企業もこの制度の実施に従い、企業の就業規則も法律法規の要求に合うように変更する必要となる。


2.中国人民銀行本店の手配に基づき、深センは初のパイロットプロジェクト参加の都市の1つとして、2020年10月10日正式に大口現金管理パイロットプロジェクトを実施。

中国人弁護士による解説

当チームの読解:

2.1大口現金管理の対象と範囲

深圳の大口現金管理は主に銀行業金融機関の窓口または大口の高速自動預入金設備で発生した、管理金額の基準以上の、現金現物引き渡しが発生した現金の預け入れと引き出し業務が対象となる。

2.2大口現金引き出しの管理金額の基準

深セン市は、組織口座の大口現金管理の基準を50万元、個人口座を20万元とする。

2.3大口現金管理は預け入れと引き出しの自由に影響しない

法律に従い、事前に預け入れと引き出しの予約を行えば、大衆が大口預け入れと引き出しをする場合は制限を受けない。注意が必要なのは、大衆が管理基準以上の大口の現金の預け入れと引き出しを行う場合、原則的に銀行業金融機関の予約規則に従い、オンライン、窓口より最低1日前には予約が必要となり、予約の時間に支店にて大口取引を行う。また、関連の登録手続きを行い、引き出しの用途や預金の出所などを正確に記入しなければならない。個人口座を利用した経営収支の多額の現金アクセスには、業種別および細分化された出所用途などの情報を明確にする必要がある。


3. 9月15日午前、深セン税関は深セン市政府の新聞の発表会で、深セン市の8月の対外貿易データと『深セン税関による貿易、外資安定化三十条措置』(以下『当措置』)を発表し、深センの対外貿易の安定的な向上を推進。

中国人弁護士による解説

深セン市の加工貿易額は長期にわたり全国の半分を占めているが、感染症流行の影響により大きな影響を受け困難に直面している為、深セン税関は対策を講じ、深セン市政府及び関連部門が加工貿易企業の国内販売の拡大、国内市場開拓の力を増大し、企業の困難を乗り越えるサポートをする決意を表している。当措置第四条は、貿易企業の国内販売の拡大を支援している。総合保税区では、区内企業増値税一般納税者資格試験を実施している。またもう一方で企業の国内販売加工貿易貨物は、申告手続き時に契約書、パッキングリスト、船荷証券、インボイス、輸送保険証書等の関連書類をアップロードする必要がなくなり、税関で規定に従い「書類評価」などの作業を実施する時だけ、紙の資料を提供する必要がある場合のみ、企業はまた要求に従い上記の書類を提出するため、企業の経営コストを有効に下げることになる。また、深セン税関は企業の費用を節約する目的を達成するために、業務の処理プロセスを最適化するプロセスを規定し、監督監査作業の流れを最適化し、法律を遵守する企業に多くの利便性を提供し、企業の「問題」解決ルートを円滑にするなど8つの措置を定めた。


4. 9月25日、中国証券監督会、中国人民銀行、国家外貨管理局は『適格外国機構投資家と人民元適格外国機構投資家の国内証券先物投資管理弁法』(以下「弁法」)を発表し、金融開放を持続的に拡大し、外資が国内資本市場に投資の更なる利便化の為、2020年11月1日から施行する。

中国人弁護士による解説

当弁法のハイライト:

4.1参入条件の緩和:適格外国投資家の参入条件の緩和、申請文書の簡素化、審査機関の短縮、行政許許可の簡易プロセスの実施。委託仲介機関の数量制限の取消、届出事項の管理の最適化とデータ送信要求の減少。

4.2着実な投資範囲の拡大:適格海外投資家に全国中小企業の株式譲渡システムで譲渡された株式などの証券、私募投資基金、金融先物、商品先物、オプション等の金融ツールに投資を許可する。 

注意:弁法第15条の規定により、海外投資家が国内証券投資を展開する場合、中国証券監督会の規定による証券投資の比率制限とその他の国家関連規定を遵守しなければならない。すなわち上場企業に対する戦略投資以外に、単一の海外投資家が適格投資家を通じて上場会社の株式を保有する場合、持ち株の比率は当該会社の株式総数の10%を超えてはならない。全ての海外投資家が単一上場会社A株に対する持株比率の合計は、上場会社の株式総数の30%を超えてはならない。

4.3持続的な監督管理の強化:市場間監督管理、越境監督管理と、違反処罰を強化し、具体的な違反状況に適用される監督措置等を細分化する。


5. 2020年9月19日、中国の商務部は「信頼不能実体リスト規定」を公布し、即日施行した。中国商務部の声明に基づき、中国の国家主権、安全発展に対すして危害を加える個人と組織はブラックリストに組み入れられ、制裁が与えられる。

中国人弁護士による解説

5.1適応範囲

正常な市場取引の原則に違反し、中国企業と正常な取引を中断し、差別的な措置を採用し、中国企業の合法的な権益、国家主権、安全、発展利益を著しく損害する外国企業、その他組織または個人。

5.2制裁措置

信頼不能実体リストに追加された外国企業、その他組織または個人は以下のいずれかまはたいくつかの措置が講じられるものとされている。

5.2.1中国関連の輸出入活動を制限または禁止

5.2.2中国国内での投資を制限または禁止

5.2.3関係者の交通運輸による入国の制限又は禁止

5.2.4関係者の中国国内での工作許可、滞在または居留資格の制限または取消

5.2.5情状の重さに応じる金額の罰金

外国企業、その他の組織又は個人が信頼不能実体リストに追加された場合、是正期間に是正された場合、上記の制裁措置は採用されない。


6. 2020年9月30日、人力資源と社会保障部は、「人力資源社会保障部公庁 雇用シェアにかかる指導及びサービスを適切に行うことに関する通知」を発表し、労働者の意思と知る権利を十分尊重するよう指導する。

中国人弁護士による解説

 主要内容:1.企業間の雇用シェアの展開を支持する。2.雇用シェアの就業サービスの強化。3.雇用シェアをする企業が適時に提携契約を締結する指導をする。4.労働者の意思と知る権利を十分に尊重する。5.企業が法律に基づき労働契約を変更するよう指導する。6.労働者の雇用機関の合法権益を擁護する。7.企業の雇用と労働者の自主権を保証する。8. 労働紛争を適切に処理し、違法行為を取り締まる。企業の間で雇用シェアを展開し、雇用の余剰と不足を調整する提携をし、、雇用の余剰と不足の矛盾を解決し、人的資源の効率的な配置の向上と就業率の安定に貢献する。


7.2020年10月18日、国家発展改革委員会は『深圳で中国特色のある社会主義のパイロットモデル地区を建設する総合改革施行の第一次授権事項』を(以下“授権リスト”)を発表した。

中国人弁護士による解説

 授権リストの中で企業の雇用に直接影響があるのは第4条「特殊労働時間管理改革ポイント」であり、即ち調和のとれた労働関係を促進する関連経済特区法規の改訂を許可し、特殊労働時間制度の適用業界と職種の職位範囲を拡大し、新技術、新業態、新産業、新たなモデルの発展に適応するための特殊労働時間管理制度を模索する。

『賃金支給暫定規定』では、雇用者が不定時勤務制の従業員を休日または法定休日に出勤させることを規定しており、一般的に残業と認められず残業は支払われない。しかし、『深セン市従業員給与支払条例』の第二十条では、「雇用者が不適時勤務制従業員を法定休日に出勤をさせた場合、従業員本人の正常勤務時間賃金の300%以上の給与を従業員に残業手当として支払う」と規定されている。


二、企業によくある法律問題とリスクの予防


(一)従業員の年次有給休暇に関する問題

1.“連続12カ月以上勤務”12カ月中に中断があっても良いのか?

 『企業従業員年次有給休暇実施弁法』第三条の規定:“従業員が連続12カ月以上勤務した場合、年次有給休暇を享受する”という規定があるが、この12か月中に中断があっても良いのかという問題に関して、『深セン市中級人民法院労働争議案件の審理に関する裁判指導』百九条で『企業の従業員の年次有給休暇実施の弁法』第三条で規定する“連続12か月以上”は、労働者が同一の企業で連続12か月以上勤務した場合と、異なる企業で連続12か月以上勤務した状況が含まれる。但し労働者が新しい企業に勤務する際に、勤務期間の中断があった場合は除く。つまり、新しい勤務先に勤務する前に中断があった場合は、計算しなおさなければならない。

2.業務上の必要がある場合、従業員に年次有給休暇を手配しなくても良いか?

 雇用単位は業務の関係で従業員に年次休暇を手配できない場合、社員の同意を得て、休暇を手配しないことができるが、従業員の日給の300%を年次有給休暇の報酬として支払うほか、賠償金も支払わなければならない。

3.年次有給休暇はどのように計算するのか?

 従業員の累計勤務年数が1年以上10年未満の場合、年次有給休暇は5日間、10年以上20年未満の場合、年次有給休暇は10日間となる。20年以上の場合、年次有給休暇は15日間となる。国家規定の休暇、休日は年休に算入しない。

4.年次有給休暇はどのように手配するのか?

 年次有給休暇は1年間に集中的に手配することも、分けて手配することも可能である。一般的に、年度を跨いで手配しない。ただし、生産や業務による特殊な理由で年度を跨いで従業員に年次有給休暇を手配する場合、翌年度までまたぐことが可能である。

5.従業員が年次有給休暇を享受しない状況。

5.1法律に基づき冬休みと夏休みを享受し、その休暇日数が年次有給休暇の日数を超える場合。

5.2私用休暇の累計が20日間以上且つ会社が規定に従い給料から差し引かない場合。

5.3累計勤務年数が1年以上10年未満の社員が、病気休暇の申請が累計2ヶ月以上の場合。

5.4累計勤務年数が10年以上20年未満の社員が、病気休暇の申請が累計3ヶ月以上の場合。

5.5累計勤務年数が20年以上の社員が、病気休暇の申請が累計4ヶ月以上の場合。

6.従業員が年休を取得しない場合どのように処理するか?

6.1雇用単位が業務を理由に従業員に年次有給休暇を手配でない場合、本人の同意を経た場合、年次有給休暇を手配しないことが可能。但し、従業員の未消化の年次有給休暇の日数に対し、その日の日給の300%を休暇機関の給与報酬として支給しなければならない。

6.3雇用単位が従業員に年次有給休暇を手配したが、従業員本人の原因により、また書面で年次有給休暇を取得しない旨を提出した場合、雇用単位は正常勤期間の給与のみを支払えば良い。

6.4従業員が年次有給休暇を要求したが、雇用単位は強制的に休暇を取らせない場合、人力資源部門は職権によって期限を決めて是正するよう命じる。期限を過ぎても是正しない場合、当該企業に未消化年次有給休暇の賃金報酬を支払うよう命じる他、当該企業はは未消化年休の賃金報酬の金額に基づき従業員に賠償金を追加して支払わなければならない。未消化年休の賃金報酬、賠償金支給の行政処理決定の執行を拒否する場合、人力資源部門または人民法院に強制執行を申請する。

7.雇用単位は強制的に社員の年次有給休暇を手配しても良いか?

 『企業従業員の年次有給休暇実施弁法』(以下、「実施弁法」)第九条の規定より、雇用単位は生産、仕事の具体的な状況に基づき、また従業員本人の意向を考慮したうえで、年次有給休暇を計画、手配する。雇用単位は業務の必要により、従業員に年次有給休暇を手配できない或いは1年を跨いで年次有給休暇を手配する場合、従業員本人の同意を得なければならない。従業員は会社の手配した年次休暇を断る権利があるかどうか?

当チームの意見:雇用単位は“従業員本人の意思を考慮”するだけであるため、従業員の意思は決定の要素ではなく、最終的には雇用単位により決定されるべきである。第二項、“一年を跨いで年次有給休暇を手配する場合”、“従業員本人の同意を得なければならない”に基づき文理解釈をすると年度を跨がない手配は必ずしも従業員の同意が必要な訳ではないことになる。企業は生産の手配により統一して従業員の年次有給休暇を手配することができる。従業員が企業の休暇の手配を拒否する場合、休暇の権利を放棄する見なされ、さらに年次休暇賃金の待遇を失うためリスクを防止するために、企業は従業員に書面で休暇放棄の文書を発行させると良い。

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