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事例 / ニュース

【車衛東弁護士チームニュースレター】2020年5月分(第一号)

更新日:2021年9月16日

今月より車衛東弁護士チームによるニュースレターの配信を始めます!

みなさまのお力になれれば幸いです。


一、最新法律情報


1.2020 年 3 月 30 日、「中共中央国務院のより完備された要素市場化配置体制・メカニズムの構築に関する意見」(以下「意見」)」が発表された。「意見」第 14 条で は積極的に段階的な金融業の対外開放を拡大することを明確にし、人民元の国際化と人民元資本項目の兌換可能を着実に推進している。

中国人弁護士による解説

 長期にわたり中国は為替管理政策を実行しており、現 在中国が実行している為替管理制度は生産資本の兌換 を許可しているが、大陸の投資家は直接海外事情の株式 に投資をすることができず、国外の投資家も直接国内の債 券市場に投資をすることができない。人民元資本項目の兌 換可能は住民が提供する多くの投資チャネルと兌換可能で、国内住民は海外資本市場の株式と債券に投資をする ことができ、リスクを分散し、資産による収入を増することが 可能である。企業は対外貿易投資活動を展開することによ り、対外投資の際の資金の使用が更に便利になる。国内 金融機関の業務範囲と製品の種類を広げるだけではなく 国外の先進的な金融技術と管理の経験を取り入れ、外資 企業を呼び込むのに重要な手段となる。また全世界の市場の資金チェーンの協力関係を広げることになる。当弁護士 チームは人民元の国際化と人民元資本項目の兌換に関する情報を引き続きフォローし解説を行う。


2.最近中国証券監督管理委員会(証監会)は、2020 年 4 月 1 日より証券会社に対する外資出資規制を 撤廃すると発表。条件を満たす国外の投資家は法律規定に従い、証監会の規定とサービスガイドラインの要求に従い 法律により証券会社の設立または会社の実際の管理者の 変更の申請を提出ができることを明らかにした。

中国人弁護士による解説

 証券会社の外資出資規制を撤廃は外資企業の中国証券市場の進出を更に緩和し、良質な外資金融機関を中 国証券業に進出させることを意味する。また中国の資本市 場の発展を刺激し、国内資本市場の発展のモチベーションも高めることになり、外国金融機関に更に広い市場を提供 することになる。今後も新たな規定やケースがあった場合、法的な読解を提供する。

3. 2020年4 月22日広東省高級人民法院、省人力资源和社会保障局の『新型コロナウイルス感染による肺炎 流行に関連する労働人事争議案件の若干問題』(以下 略称『感染症流行に関する人事争議案件の若干問題の 回答』に関する発表は感染症流行期間中の労働人事争 議の問題を発表し詳細の回答を行っている。 弁護士分析 広東省高級人民法院は『感染症流行に関する人事争 議案件の若干問題の回答』は広東省の新型コロナウイルス 感染による肺炎の流行に関連する労働人事争議案件の審 理基準を統一し、企業が適切に予防を行い、法律に従い 感染症流行期間の労働人事争議問題を処理する指針と しての意味がある。


二、感染症の流行下での企業の生存と発展の道


一、感染症流行の企業に対する影響

 現在中国国内での感染症の流行は基本的にコントロー ルがされており各業界は順次段階的に操業を再開しているが、感染症流行の影響は未だ続いており、多くの企業が感 染症流行のストレス測定(感染症の流行下で企業がどれ だけ持ちこたえられるかの内部テスト)の結果は理想的では なく特に製造業、交通・輸送業、飲食業、宿泊と居民サー ビス等の中小零細企業は全体的に注文の減少、営業収入の減少、運営コストの増加、資金不足と人件費の負担 が大きすぎる等の困難に直面している。

 また感染症の中国国外での爆発的な流行に伴い、欧米諸国が感染症の流行の中心地となっていることから多く の海外企業が操業停止をしており、欧米諸国の状況の深刻化が中国国内企業の経営にも影響している。欧米諸国 からの大注文が大量に続々とキャンセルされ、中国国内企業もこうした影響を受け複数の企業が7月まで操業を停止することを発表している。


二、企業の“抗疫”措置

 感染症流行による危機を乗り越えるため、企業は休暇、操業停止、減給または人員削減の措置を採用している。こ うした措置は感染症流行の影響をある程度暫定的に緩和することができるが、労働紛争を引き起こしかねない。本弁 護士チームは企業が人員削減、減給または休暇を取得させ 減給する措置する際に注意しなければならない点を以下で まとめる:

(一)休暇

 最近感染症の影響を受けた多くの企業が従業員に対し “休暇”の通知を行っている。従業員の休暇は企業が従業 員に与える福利厚生であり法律規定により休暇中は正常 の勤務時間に従って給与を支払わなければならない。一部 の部門または一部の従業員に休暇を与える場合、企業の 経営状態が正常に回復した際に従業員が企業に対し休暇 期間中の給与の支払いを求めるてくるリスクが大きい。その ため本弁護士チームは“休暇という名目で操業停止をする” 方法によりコスト削減することに対して慎重に対応すべきで あり可能な限りこの方法を採用しないことを提案する。

(二)操業停止

 現在、一部の企業は感染症の流行の影響を受け経営 が困難となり操業停止を決断せざるを得ない状態となって いる。操業停止は従業員にとって切実な問題となるため、 操業停止を決定した後直ちに従業員に告知することを提案 する。

1.操業停止期間の給与支払い

1.1 操業停止期間が給与支払い1周期間内(通常 1 か月)の場合、労働契約の約定に従い給与を支払う。

1.2 操業停止期間が給与支払い 1 周期間(通常 1 か 月)を超える場合、且つ従業員に業務を手配していない場 合、深セン企業は深センの最低給与水準 2200 元/月の 80%に基づいて従業員の生活費を支払い、企業が操業開 始または従業員との労働関係を解除するまで支給する。※本弁護士チームの提案:感染症の流行期間に従業 員が離職する際、従業員に離職申請書に“自動離職申 請”と明記することを要求し、また労働契約の中止の書類 において社会保険、住宅積立金等の記述に注意し従業 員が社会保険部門または住宅積立金部門等にクレームを 持ち込むことを防ぐ。

2.社会保険納付 操業停止期間中も双方での労働関係は依然として存続しているため企業は従業員に給与または生活費を支払わなければならず、従業員の労働の報酬に従い社会保険 を支払わなければならない。

3.操業停止期間中に従業員に業務を要求 企業は操業停止期間中に業務を要求することが可能で ある。ただし具体的な給与基準、業務時間及び業務方法を双方で話し合いの上決定しなければならない。生活費のみの支払いは不可である。

※本弁護士チームは感染病流行期間中に企業の操業再開の際に直面する可能性のある問題を積極的に収集し、解決のアドバイスを提供している。詳細はQR コード「深天成車衛東弁護士チームの操業再開の手引き(深セン)」を参照。

(三)減給

 感染症の流行という特殊な状況下において減給は企業の自力救済の方法の1つであると言える。企業によっては人事異動を通じて減給を行っている。減給を行う場合は以下の問題に注意が必要:

1.従業員と単独で協議従業員と協議による合意を経て報酬に関する条項を変更することがベストな方法であり、法的リスクを回避する方 法でもある。ただし減給は従業員にとって不利益であるため、単独で協議を進める際には必ず法律に従い書面による取り決めをしなければならない。

※当弁護士チームの提案:企業は減給の理由と方法の合法性と合理性を特に慎重に注意しなければならない。 集団的な労働争議が起こるのを避けるため、民主的な協 議を経て、全ての内容が法律規定に適合するよう注意が必要。

2. 集団での協議による合意を経て賃金協定または集団契約を締結企業は集団協議による合意を得ることにより従業員代表が賃金協定を締結し(企業と従業員が集団契約を締結している場合は協議による合意を経て集団契約変更の協定を締結)従業員の給与を減給することができる。企業は賃金協定書または集団契約変更の協定書を行政部門に送付し審査を受ける必要がある。

※本弁護士チームの提案:企業が減給を行う際は従業 員の感情面でのコントロールが重要である。従業員に企業の困難な状況を説明し、ストライキや集団的な労働紛争等の状況の発生や人材の流出を防ぎ、人材確保や正常な 生産、経営活動への影響を回避しなければならない。

(四)人員削減

 企業が人員削減をする際は法律に従い人員削減案を制定しなければならず、労働行政部門ときちんとコミュニケーションを取り報告が必要になる。従業員の具体的な状況に基づき、合法的で合理的な経済補償金の支払いをし、企業の正常な経営秩序を維持しなければならない。

※本弁護士チームの提案:人員削削減を実施する場合、必ず法律に従い人員削減案を制定し、労働行政部門への報告をすることを注意しなければならない。


三、企業のその他の抗疫の良策

 長期的にみると、人員削減、減給及び休暇を取得させて減給をする措置は、抗疫つまり感染症流行時の企業救済にとって良策ではない。もし企業が穏やかに感染症の流行の危機を乗り越え、長期的に持続可能な成長を望んでいるのであれば、人員削減、減給及び休暇による減給の 3 つの手段を採用する以外に以下のような方法を考慮することができる。

(一)政府の優遇政策を活用した補助金の獲得

 4 月15日に広東企業科学技術特派員特別プロジェクトが正式に始動する予定となっている。特定の条件を満たす科学研究従事者を企業に派遣し技術サービスに従事させるプロジェクトである。企業は自身の状況に基づき実際の研究開発費の需要とプロジェクトの立ち上げるかどうかの決定を提出し、政府はプロジェクト立ち上げ認可及び最高20万の経費援助を与える。上記の広東企業科学技術特派員特別プロジェクト以外にも多くの政府優遇政策がある。深セン宝安区企業を例とすると、条件を満たす場合、以下の優遇政策補助を申請することができる。

 宝安区の従業員200名程度の外資企業の営業収入が一億に達し、且つハイテク補助申請の条件に満たしている場合、上記の優遇政策の補助金の合計は少なくとも200万元以上を獲得することができる。また上記の優遇政策以 外にも政府部門は企業と共に困難を乗り越えるため続々と企業に対する優遇政策を公布している。

当弁護士チームは積極的に感染症の流行期間中に政府が公布した主要な優遇政策を取りまとめている。【詳細は、QRコード“深天成弁護士事務所車衛東弁護士チーム(深セン市優遇政策 のまとめ)”を参照】。感染症の流行の影響が深刻化するなか、政府部門は企業の発展をサポートするため今後も引き続き優遇政策を発表する可能性。当弁護士チームも引き続き注目していき、新たな情報があり次第情報を更新する予定である。

(二)合理的なタックスプランニング、コスト管理

 財政と税務は企業の資金調達にとっての命脈であり、多くの企業は経営状態が良好な時にはタックスプランニングに関心を持たないかもしれない。現在感染症の流行を受け多 くの企業の利益が減少または利益が出せない状態の中、正確なタックスプランニングの成功と企業の生存には密接な関係がある。タックスプランニングには以下の二種の方法がある:

1.現在ある企業の優遇政策を十分に利用する。感染症流行の期間における企業が困難を解決するために発表した優遇政策以外にもソフトウェア企業及び各業界の専門的資格を獲得することで減税または免税の支援等を取得する。例として国家ハイテク認定を受けた場合、10%の企業所得税の減免の優遇を受けることができ、さらには政府の奨励金も受けることが可能である。

2. 雇用構造の転換または業務モデルの転換により税制上の優遇により、間接的な税収または減免を受けることが 可能。この方法は専門性が高いため、専門家に依頼し、企業のそれぞれの状況に合わせた専門的なタックスプランニングの構築をお勧めする。

(三)不可抗力と事情変更の原則を柔軟に活用

 感染症の流行が原因で企業が契約書の履行の遅延、不履行または履行の継続において著しく不公平な事実がある場合、不可抗力と事情変更の原則の適応が企業にとって重大な損失を免れる鍵となる。不可抗力、事情変更の原則の適応をする際は以下の問題に注意しなければならない:

1.不可抗力の適応

1.1 不可抗力の適応の際に採用すべき措置

感染症の流行の影響が深刻な当事者の一方は遅延な く契約の相手方に通知(書面、FAX、メール、ウィーチャット 等)しなければならない。また合理的な期限内に関連する 証明を提出、合理的な措置を採用し損失を最小限にする、また証拠資料を保管しなければならない等の注意が必要である。可能であれば迅速に公証人役場等で不可抗力 の公証書の発行を申請し、起こりうる訴訟または仲裁のリスクに対し準備をすべきである。

1.2 不可抗力の期間の確定 不可抗力が適応される期間は、感染症流行または予防管理措置が契約履行に実際に与えた影響に基づき確定すべきであり、一般的は省級の人民政府が発表する重大突 発性公共衛生事件の発動と終了に対応して確定することができる。広東省は2020年1月23日に広東省の重大突発性公共衛生事件の1級マニュアルを発動したため、一般的な情況の下では広東省は不可抗力の開始時間は 2020年1月23日であり、もし企業が2020年1月23 日よりも前に契約を履行できなかった場合、不可抗力とすることはできず、契約の解除、一部あるいはすべての責任について免除を主張することはできない。

2.事情変更の原則の適応 事情変更の原則の適応を主張する当事者の一方は関連する証拠を保管し、遅滞なく契約の相手方に通知(書 面、FAX、メール、ウィーチャット等)しなければならない。また 契約書の内容の変更または契約書の解除に関して相手の 一方と協議により合意をしなければならない。協議により合意をしなければならない。協議により合意が得られない場合 は、直ちに裁判所に訴訟を提起しまたは仲裁機関に仲裁 の申請しなければならない。 感染症流行が契約履行に与える障害は不可抗力に属 することも、事情変更の原則に属することもある。実践にお いては、感染症流行により契約履行に影響を受けた企業 は不可抗力を適応すべきか事情変更の原則を適応すべき か、表面的に判断することは難しいため、実際の状況を総 合的に分析しどちらを適応するべきかを選択すべきである。感染症流行の期間に本弁護士チームは顧問を担当して いる多くの企業より感染症流行の影響を受けた契約履行 に関する案件の処理の依頼を受け、関連する証拠や企業 が置かれている具体的な状況を研究し、企業の利益最大 化の立場から不可抗力と事情変更の原則を柔軟に適応し クライアントのリスクマネジメントをサポートしている。また多くの企業の賃料削減の優遇の獲得等に関してもご相談を受けサポートを提供している。その他、製造業のクライアントの代理でサプライヤーとコミュニケーションを取るサービスも行っている。




三、車弁護士コラム - 企業の解散実務とリスクの提示

 現在、感染症の流行により企業が経営を継続していくことができなくなりやむを得ず解散を選択する企業も少なくない状況である。当弁護士チームは解散の実務経験に基づき、近日中に企業の解散の実務操作及び注意すべきリスクについてまとめる予定である。感染症の流行の影響により、企業は解散の過程においても感染症の影響を考慮した全面的な対処方法が求められている。今後、当コラムにて解散の際の事前準備、集団労働争議を防ぐための従業員解雇案の制定と交渉について、税務、税関の問題の解決方法及び政府部門とのコミュニケーション、解散のリスク等に関して紹介する予定である。引き続きご注目いただきたい。

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