2020年4月21日広東省高級人民法院、広東省人力資源と社会保障局により『新型コロナウイルス感染による肺炎流行に関連する労働人事争議案件の若干問題』が発表されました。感染症流行により起こる可能性がある労働人事争議案件に対するQ&Aです。日系企業に関係がある部分を抜き出し弁護士の解説を加えています。本弁護士事務所は『新型コロナウイルス感染による肺炎流行に関連する労働人事争議案件の若干問題』の第2条、第4条、第8条、第9条、第10条、第12条、第13条、第14条、第15条、第16条、第17に対し以下で解説を行っています。また長文となるため、2回に分け、解説させていただきます。
第2条. 2020年春節の休暇延期間とその他の休暇、医療期間、休業期間中の有給休暇が重なる場合どのように処理すべきか?
産休、褒賞休暇、出産付添休暇(看護休暇)、休業期間中の有給休暇、医療期間と2020年の春節の休暇延長期間が重なる場合は休暇を順延してはならない。有給休暇と2020年の春節の休暇延期が重なる場合は休暇順延が可能。または労働者が別途申請、雇用単位が別途手配した場合は休暇順延が可能。慶弔休暇、私事での休暇が2020年の春節の休暇延長期間と重なる場合は、労働者と雇用単位は法律に従い協議の上、調整が可能。
当弁護士見解
(1)従業員の産休、褒賞休暇、出産付添休暇(看護休暇)、休業期間中の有給休暇、医療期間等の休みが2020年の春節延長期間(1月31日~2月2日)と重なる場合、これらの休みはは春節延長休暇を含むため春節延長休暇を別途計算しない。従業員が上記の休暇が春節延長期間に終了する場合は2月3日に出勤するべきである。
(2)有給休暇と2020年の春節延長期間(1月31日~2月2日)が重なる場合、この期間を差し引かなければならない。従業員は2月2日以降にまだ消化していない分の有給休暇を消化することが可能。もしくは従業員が別途消化していない分の有給休暇の申請または企業により別途調整することができる。
(3)慶弔休暇、私事での休暇が2020年の春節の休暇延長期間(1月31日~2月2日)と重なる場合に関して裁判所は未だ明確な規定を定めていないため企業と労働者の間で協議を行い決定することが可能。
第4条. 感染症の流行の影響により雇用単位が法律に従い適時に労働者と書面による労働契約の締結または契約更新ができない場合どのように対応すべきか。
感染症の流行の影響を受け、雇用単位が法律に従い適時に労働者と書面で労働契約の締結または契約更新ができない場合、労働者が書面の労働契約の二倍の給与差額を請求した場合は支持されない。
感染症予防管理期間、雇用単位は労働者と協議による合意が得られた場合、電子方式での労働契約書の更新を採用することが可能。労働契約法、電子署名法等の法規制により電子労働契約書が締結されれば書面での労働契約書と同等の法的効力を有することになる。
当弁護士見解
(1)企業が感染症の流行が原因で適時従業員と書面での労働契約書を締結できない場合は、従業員は毎月支払われる給与の二倍の給与を要求する権利がない。
(2)感染症予防期間において企業は従業員と協議の上合意した場合、電子労働契約書を締結することが可能である。電子労働契約書は労働契約法、電子署名法等の法律規定に従っており、書面での労働契約書と同等の法的効力を有する。
第8条. 決められた感染症予防の措置を講じている雇用単位が労働者に早期に職場に戻る要求または合理的な業務時間の延長をしたが拒否された場合どのように対応すべきか?
決められた感染症予防の措置を講じている雇用単位が労働者に春節延長期間中または操業再開の制限期間中に早期職場復帰または合理的な業務の延長を通知し、従業員が正当な理由なく時間通りに職場に復帰しない、または雇用単位の要求通りに業務時間を延長しない場合は労働契約の解除が可能な状況となる。雇用単位は法律に基づき、労働契約の約定または本雇用単位の規則制度に従い労働契約を解除することができる。従業員は雇用単位に労働契約の解除の経済補償金または労働契約の違法解除の賠償金の支払いを要求しても支持されない。
当弁護士見解
企業が決められた感染症予防の措置を講じている場合、従業員に春節休暇延長期間(1月31日~2月2日)または操業再開制限期間(2月3日~2月9日間)の間の早期出勤の通知または合理的に従業員の業務時間を延長し従業員が正当な理由なく拒否した場合、企業は労働契約の解除をすることが可能。このような労働契約の解除は合法的であり従業員は企業に対し労働契約解除の経済補償金、労働契約の違法解除の賠償金の支払いを要求する権利がない。
第9条. 雇用単位は労働者が感染症の流行が深刻な地区またはもともと感染症の流行が深刻であったが既に低リスク地区とされている地区での仕事、出張を拒否したことを理由に労働契約の解除をする場合、従業員は労働契約の違法解除の賠償金を主張することができるか?
感染症予防期間中に雇用単位が必要な防護措置を講じていない状況で、雇用単位が正当な理由や政策等の根拠がなく従業員に感染症の流行が深刻な地区での仕事、出張を要求した場合労働者はそれを拒否する権利がある。雇用単位が、従業員が会社の要求を拒否したことにより労働契約を解除した場合、従業員は労働契約法第八十七条の規定により賠償金の支払いを請求することができ、また支持される。防護物資の輸送等と感染症予防に密接な関連がある業界では、特別な事情がない場合拒否することができない。従業員が正当な理由がなく会社の要求を拒否する場合、雇用単位は法律規定に基づき労働契約の約定または規則制度に従い処理する権利を有する。労働契約の解除が可能な状況の場合、雇用単位は法律に従い労働契約を解除し、従業員が賠償金の支払いを請求する場合は支持されない。
雇用単位が従業員に元々感染症の流行状況が深刻であった地区だが現在は既に低リスクだと認定されている地区での業務、出張を要求し、労働者が正当な理由なくその要求に従わない場合、雇用単位は法律規定に基づき労働契約の約定または規則制度に従い処理する権利を有する。労働契約の解除が可能な状況の場合、雇用単位は法律に従い堂々契約を解除し、従業員が賠償金の支払いを請求する場合は支持されない。
当弁護士見解
(1)感染症予防期間中に雇用単位が必要な防護措置を講じていない状況で、企業が正当な理由や政策等の根拠がなく従業員に感染症の流行が深刻な地区での仕事、出張を要求した場合労働者はそれを拒否する権利がある。企業がこの理由により労働契約を解除した場合、労働解除の違法解除となり、従業員は企業に経済補償金基準の2倍の金額の賠償金の支払いを要求する権利を有する。
(2)しかし出張と業務内容が防護物資の輸送等と感染症予防に密接な関連がある業界では、特別な事情がない場合拒否することができない。もし従業員が正当な理由なく拒否した場合、企業は法律規定に基づき労働契約の約定または規則制度に従い処理する権利を有する。労働契約の解除が可能な状況の場合、企業は法律に従い労働契約を解除し、従業員は経済補償基準の2倍の金額を賠償金として支払う要求をする権利がない。
(3)企業が従業員に元々感染症の流行状況が深刻であった地区だが現在は既に低リスクだと認定されている地区での業務、出張を要求し、従業員が正当な理由なくその要求に従わない場合、企業は法律規定に基づき労働契約の約定または規則制度に従い処理する権利を有する。労働契約の解除が可能な状況の場合、企業は法律に従い堂々契約を解除し、従業員は経済補償基準の2倍の金額を賠償金として支払う要求をする権利がない。
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