前回お話しいたしました政府から発行された感染症流行により起こる可能性がある労働人事争議案件に対するQ&Aの日系企業に関係がある部分を抜き出し弁護士の解説を加え説明しております。
第10条. 雇用単位は労働者の本籍、住所が元々感染症の流行が深刻であった地区であることを理由に労働契約を解除する場合、どのように対処すべきか。
雇用単位は労働者の本籍、戸籍登録、その他有効な身分登録の住所が元々感染症の流行が深刻であった地区を理由に労働契約を解除する場合、労働契約の違法解除の法的な責任を負わなければならない。
当弁護士見解
従業員の本籍、戸籍登録、その他有効な身分登録の住所が元々感染症の流行が深刻であった地区の場合、企業はこれを理由に従業員との労働契約を解除することはできず、こうしたケースは労働契約の違法解除となり経済補償標準の二倍の金額を賠償金として支払わなければならない。
第12条. 雇用単位が感染症の流行の影響により従業員の給与の支払が遅延し法律に基づき適時労働者の社会保険料を納付しない場合、労働者が労働契約の解除をし、経済補償金を請求した場合は支持されるか?
雇用単位が感染症の流行により給与の支払いの遅延が30日を超えない場合、または法律に従い適時社会保険を納付していない場合、労働者が労働契約を解除し経済補償金を請求した場合は支持されない。
当弁護士見解
企業は感染症の影響を受け給与の支払いの遅延が30日を超えない、または適時社会保険を納付しない場合、従業員はこれを理由に労働契約の解除をすることができず経済補償金の要求もできない。
第13条. 雇用単位は感染症の影響によち生産、経営に深刻な困難が生じた為労働契約を解除した場合、労働者は経済補償金の請求を主張することができるか?
雇用単位は感染症の流行を受け、生産、経営に深刻な困難が生じた場合、労働者と協議により報酬と賞与、シフト制(交代で休暇を取る)、時短勤務、自宅待機等の方法により労働契約を変更し企業の雇用の安定させることができる。
当弁護士見解
(1)企業は感染症の影響により生産、経営に深刻な困難が生じた場合、労働者と協議により報酬と賞与、シフト制(交代で休暇を取る)、時短勤務、自宅待機等の方法により労働契約を変更し企業の雇用の安定させることができる。
(2)企業と従業員が協議により合意が得られない場合、企業は30日前に書面にて従業員に通知、または別途従業員に一か月分の給与を支払った後に労働契約を解除することができるが法律に従い経済補償金を支払わなければならない。
第14条. 雇用単位は感染症の影響により操業停止になった場合、給与待遇はどのように処理すべきか?
雇用単位は感染症の影響を受け操業停止となる期間が賃金支払いの1 周期(通常30日)を超えない場合、労働契約書で約定した給与標準に従い給与の支払いをしなければならない。1周期(通常30日)を超える場合、雇用単位と労働者は労働者が提供した労働量に基づき、新たな給与標準について協議をすることができる。協議による合意が得られない場合は、雇用単位は労働契約法第四十条の規定により労働契約を解除することが可能だが、労働契約法第四十六条、第四十七条の規定により経済補償金を支払わなければならない。1周期(通常30日)を超え、雇用単位が労働者に労働を手配していない場合、現地の最低給与標準の80%を労働者の生活費として支給しなければならない。雇用単位が労働者になにも労働を手配しておらず、上記の基準に基づき生活費を支払わず合理的な期限または約定する期限を過ぎても支払いがされない場合、労働者は契約法第三十八の規定に基づき労働契約の解除をし、生活費と経済補償金を請求する場合、支持される。
当弁護士見解
(1)企業が感染症の影響により操業停止となる期間が賃金支払いの1 周期(通常30日)を超えない場合、労働契約の約定の給与標準の給与を支払わなければならない。
(2)企業が感染症の影響により操業停止となる期間が賃金支払いの1 周期(通常30日)を超える場合:
①従業員に業務を手配:労働者は労働者が提供した労働量に基づき、新たな給与標準について協議をすることができる。協議による合意が得られない場合は、雇用単位は労働契約法第四十条の規定により労働契約を解除することが可能だが、労働契約法第四十六条、第四十七条の規定により経済補償金を支払わなければならない。
②従業員に業務を手配していない場合:現地の最低給与標準(深センの場合2200元)の80%を労働者の生活費として支給しなければならない。雇用単位が労働者に労働を手配しておらず、上記の基準に基づき生活費を支払わずまた合理的な期限または約定する期限を過ぎても支払いがされない場合、労働者は企業が労働報酬を適時満額支給しないことを理由として労働契約の解除をし、生活費及び経済補償金の請求をする権利を有する。
第15条. 雇用単位は感染症予防期間に満期となった労働契約を終了し、労働者が契約履行の継続と賠償金の支払いを請求する場合、支持されるか?
隔離医療期間、医学観察期間及び政府が隔離措置を実施或いはその他の緊急措置を実施している期間に契約が満期となった場合、労働契約の期限は労働者の隔離治療期間、医学観察期間、隔離期間満了、または政府の緊急措置の終了それぞれの期間を順延しなければならない。
雇用単位が上記の期間中に満了した労働契約を終了し、労働者が契約履行の継続を請求する場合は支持される。労働者が契約履行を望まない場合または既に契約の履行ができない場合、労働契約法第八十七の規定に従い賠償金の支払いを請求する場合は支持される。
当弁護士見解
(1)労働契約が隔離治療期間、医学観察期間及び政府が実施する隔離措置またはその他緊急措置期間に満了となる場合、労働契約はそれぞれの期間分順延される。
(2)企業は隔離治療期間、医学観察期間及び政府が実施する隔離措置またはその他緊急措置期間に満了となる労働契約は、従業員は企業に労働契約履行の継続を要求する権利がある。従業員が労働契約の履行を希望しない、またはすでに履行ができない場合は経済補償金基準の二倍の賠償金を支払う要求をする権利がある。
第16条. 雇用単位は労働者が治療期間中または感染症予防期間中に正常の労働ができないことを理由に労働契約を解除し、労働者が労働契約の履行請求或いは賠償金の支払いを請求する場合支持されるか?
労働者は隔離治療、医学観察、政府が実施する隔離措置またはその他の緊急措置の為に正常の労働を提供できず、雇用単位はこれを理由に労働契約を解除し、労働者が契約の履行を要求した場合支持される。
当弁護士見解
従業員が隔離治療、医学観察、政府が実施する隔離措置またははその他緊急措置により正常の労働が提供できない場合、企業はこれを理由に労働契約の解除をしてはならない。企業が労働契約を解除した場合、労働契約の違法解除となり、従業員は企業に契約履行の継続を要求する権利がある。従業員が契約履行の継続を希望しないまたは既に履行ができない場合は、経済補償金標準の2倍の賠償金の支払いを要求する権利がある。
第17条.労働者がコロナウイルスに感染し治療後に元の仕事に従事することができず雇用単位が手配した別の仕事にも従事できない場合、雇用単位は労働契約を解除できるか?
労働者がコロナウイルスによる肺炎に感染し、規定の医療期間が満了した後も元の仕事に従事できず、雇用単位が別途手配した仕事にも従事できない場合、雇用単位は労働契約法第四十条の規定に従い労働契約を解除することができるが経済補償金を支払わなければならない。
新型コロナウイルス肺炎患者、病原菌の保菌者、疑似症患者、濃厚接触者の隔離治療期間また医額観察期間は医療期間として計算されない。隔離治療が終了後も労働を停止し治療を行う者は、治療を継続する日から医療期間として計算する。
当弁護士見解
(1)新型コロナウイルス肺炎に感染し、規定の医療期間が満了した後も元の仕事に従事できず、雇用単位が別途手配した仕事にも従事できない場合、企業は30日前に書面の形式で従業員に通知または、別途一か月の給与を支払った後に労働契約を解除することが可能。但し、法律に従い従業員に経済補償金を支払わなければならない。
(2)従業員が新型コロナウイルスの感染者、病原菌の保有者、疑似症患者、濃厚接触者である場合、隔離治療期間または医療観察期間は医療期間として計算してはならない。隔離治療が終了後も労働を停止し治療が必要な場合は、従業員が治療を継続する日か医療期間として計算する
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