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事例 / ニュース

【車衛東弁護士チームニュースレター】2021年6月分(第十二号)

更新日:2021年9月18日

中国の最新法令情報や車衛東弁護士チームが担当した案件を通して企業のコンプライアンス管理等について解説するニュースレターの日本語版をお届けいたします。


一、最新法律情報


1.就業優先政策を引き続き強化し、負担の軽減、雇用の安定と拡大に関する政策の一部の業務を継続して実施するため、2021年5月20日、人力資源社会保障部、国家発展改革委員会、教育部、財政部、中央軍事委員会国防動員部は共同で『負担の軽減、雇用の安定と拡大に関する政策の一部業務の継続した実施措置に関する通知』(以下略称『通知』といいます)を公布しました。

中国人弁護士による解説

 『通知』は8項目の負担の軽減、雇用の安定と拡大に関する政策を明示しており、そのうち主な政策は以下のとおりです。

1.1引き続き包括的な雇用保険と雇用の安定化に関する還付政策を実施します。保険加入企業が前年度に人員削減を行っていない場合、または人員削減率が前年度の全国都市調査の失業率抑制目標を上回っていない場合、30人以下の保険加入企業については人員削減率が保険に加入している従業員の総数の20%を上回らない場合、雇用保険と雇用の安定化に関する還付を申請することができます。大企業は企業及び従業員が前年度、実際に納付した雇用保険料の30%を超えない額、中小零細企業は60%を超えない額が還付されます。

1.2引き続き職業内訓練の拡大政策を実施します。就労困難者、就業者のいない家庭の構成員、大学・専門学校を卒業して2年以内の者、失業者として登記されている者を受け入れて職業内訓練を行う中小企業に対し、受け入れた人数に応じて企業職業訓練の補助金が支給されます。生産経営が一時的に困難になったことにより操業を停止している中小零細企業が従業員への職業内訓練を計画している場合、職業内訓練を行う人数に応じて企業職業訓練の補助金が支給されます。各地の実情を考慮し、疫病の流行の影響の大きい宿泊施設、飲食業、文化観光業、交通·輸送業、卸売り·小売業等の業種の各企業が補助金の対象に含まれています。

1.3引き続き技能向上に対する補助金の申請·受領条件を緩和します。保険に加入している従業員が職業資格証明書または職業技能レベル証明書を取得した場合、規定に基づき技能向上の補助金を申請することができます。技能向上に関する補助金の申請·受領条件を引き続き企業の在職職員の雇用保険加入期間1年以上までに緩和します。

1.4引き続きインターンシップへの補助金の事前支給政策を実施します。企業がインターン受け入れの規模を拡大することを支援し、インターンシップ期間が満了していない大学·専門学校卒業生と労働契約を結んだ場合、インターン受け入れ企業に残り期間のインターンシップ補助金を支給します。

上述の政策に関する申請の受理期限は2021年12月31日までです。2020年度に既に受理されたもののうち、負担の軽減、雇用の安定と拡大に関する政策による補助金の受給期間が満了していないものについては、引き続き元の政策による受給期間の満了まで受給することができます。


2.2021年4月20日、広東省人力資源社会保障庁、広東省財政庁、国家税務総局広東省税務局は共同で『広東省の非正規雇用労働者の企業従業員の基本養老保険加入に関する弁法』(粤人社規(2021)5号)(以下略称『弁法』といいます)を発表し、『弁法』は2021年5月1日から正式に実施され、有効期限は5年間です。

中国人弁護士による解説

 『弁法』の注目点は以下のとおりです。

2.1新業態等の非正規雇用労働者が保険に加入するための経路を全面的に拡大します。非正規雇用労働者とは、従業員を持たない個人事業主/勤務先で基本養老保険に加入していないパートタイム労働者/電子商取引、オンライン配車予約、オンラインフードデリバリー、宅配便·物流等の新業態のプラットフォームで就業を実現し、尚且つ新業態のプラットフォームを運営する企業と労働関係を確立していない新しい就業形態の従業員/国と広東省の規定するその他の非正規雇用労働者を指します。

2.2省内戸籍、省外戸籍、香港·マカオ·台湾籍、従業員を持たない個人事業主等の非正規雇用労働者の保険加入地を明確にしています。『弁法』は省内戸籍の非正規雇用労働者が本人の有効な身分証によって戸籍所在地で保険に加入することができ、また、本人の有効な身分証と広東省の就業登記証明書によって省内の就業地で保険に加入することもできること/省外戸籍の非正規雇用労働者は本人の有効な身分証と広東省の就業登記証明書によって省内の就業地で保険に加入できること/香港·マカオ·台湾籍の非正規雇用労働者は香港·マカオ·台湾住民居住証によって居住地で保険に加入するか、または広東省の就業登記証明書によって省内の就業地で保険に加入することができること/従業員を持たない個人事業主でも本人の有効な身分証と個人事業主としての営業許可証を広東省で登録登記した場所で保険に加入することができることを規定しています。

2.3拠出基準、拠出比率を明確にしています。『弁法』は非正規雇用労働者が1か月に給料から拠出する基準について、保険加入地の企業の従業員が基本養老保険のために給料から拠出する基準の上限と下限の範囲内で、本人が自ら選択できることを規定しました。非正規雇用労働者の基本養老保険の拠出比率は20%で、そのうち12%は統一積立金、8%は個人口座に記入されます。

2.4関連する待遇の申請·受領について明示しています。『弁法』は非正規雇用労働者が条件に適合する場合、受領地の社会保険の運営機関から基本養老年金と障害給付金を受け取ることができること/非正規雇用労働者の基本養老年金、障害給付金、葬儀手当と弔慰金等の基本養老保険による待遇は国と省の規定する基準に基づき計算·支給することを規定しています。非正規雇用労働者が保険加入後に病気または業務上以外の理由で死亡した場合、その遺族は規定に基づき葬儀手当と弔慰金の申請·受領をすることができ、個人の口座残高を相続することができます。


3.2021年5月25日、最高人民法院は『最高人民法院による銀行キャッシュカードの民事紛争事件に係る若干の問題に関する規定』(以下略称『規定』といいます)を公布し、『規定』は2021年5月25日から施行されます。

中国人弁護士による解説

 『規定』は偽造カード·スキミングによる取引またはオンラインスキミングによる取引におけるカード保有者の損害の負担について明確にしています。『規定』第七条によれば、偽造カード·スキミングによる取引またはオンラインスキミングによる取引が発生した場合、デビットカード保有者はデビットカード契約における法律関係に基づきカードの発行銀行にスキミングされた預金の元金と利息と損害賠償を請求することができ、また、クレジットカード保有者は更にクレジットカード契約における法律関係に基づきカードの発行銀行に引き落とされた借越の元金と利息の返還、違約金と損害賠償を請求することができ、カードの発行銀行はカード保有者に対し借越の元金と利息、違約金の請求をしてはいけません。

 『規定』によれば、偽造カード·スキミングによる取引またはオンラインスキミングによる取引が発生した状況下では、以下の点に注意する必要があります。

3.1カード保有者は有効な法的文書、カードによる取引時の本物のカードの所在地、取引が行われた場所、口座取引明細、取引通知、通報記録、紛失届の記録等の証拠を提供することで証明を行うことができます。

3.2もしカード保有者がカード、パスワード、認証コード等の身元識別情報、取引認証情報に対し、適切な保管義務を果たしていない過失がある場合、カード保有者は相応の責任を負わなければいけません。このほか、カード保有者が遅滞なく紛失届等の損害拡大を防止する措置を取らなかった場合、カード保有者は自ら損害が拡大したことについての責任を負います。

3.3カード保有者がその口座に本人以外による取引、または本人が承認したものではない取引による資金或いは借越額に変動が生じたことをカードの発行銀行に告知した後、カードの発行銀行は遅滞なくカード保有者にカードの保有及び使用状況を確認し、取引伝票、防犯カメラの映像等の証拠となる材料を提供または保存しなければならず、そうでない場合、立証できなかったことによる不利な結果を負います。


4.2021年5月6日、中国人民銀行広州支店、中国人民銀行深セン市中心支店、広東銀行保険監督管理局、深セン銀行保険監督管理局、広東証券監督管理局、深セン証券監督管理局は共同で『広東·香港·マカオグレーターベイエリア「跨境理財通(越境資産運用商品)」業務の試験的な実施細則(意見募集稿)』(以下略称『細則』といいます)を公開し、2021年5月21日まで公開で意見を募ります。

中国人弁護士による解説

 『細則』は8章67条に分かれており、「跨境理財通」業務の定義、業務資格、「北向通」の業務、「南向通」の業務、限度額管理、投資家保護、情報の申告と監督管理等の問題を明確にしています。『細則』によれば、「越境理財通」の業務とは広東·香港·マカオグレーターベイエリアの本土と香港·マカオの投資家による同地域の銀行システムを介したクローズドの資金パイプラインの確立、越境投資の相手銀行が販売する適格投資商品または理財商品を指します。「越境理財通」は「北向通」と「南向通」に分かれています。そのうち、「北向通」とは香港·マカオの投資家が広東·香港·マカオグレーターベイエリアの本土の代理販売銀行で個人投資用の口座を開設し、クローズドの資金パイプラインを通じて資金を送金し、本土の代理販売銀行が販売する投資商品を購入することを指します。「南向通」とは広東·香港·マカオグレーターベイエリアの本土の投資家が香港·マカオの販売銀行で個人投資用の口座を開設し、クローズドの資金パイプラインを通じて資金を送金し、香港·マカオの販売銀行が販売する投資商品を購入することを指します。

 『細則』によれば、「越境理財通」業務の試験的な実施における総限度額は暫定的に1500億人民元と定められ、「北向通」のクロスボーダー資金の純流入額の上限と「南向通」のクロスボーダー資金の純流出額の上限は共にこの金額を超えないものとし、「越境理財通」業務の試験的な実施における単独の投資家に対して行う限度額の管理としては、投資限度額を100万人民元としています。


二、企業の商業秘密に関するコンプライアンス管理及び事例の共有


一、企業の商業秘密に関するコンプライアンス管理

 企業の商業秘密とは、公知ではなく、商業的価値を有し、また権利者によって相応の秘密保持の措置が取られている技術情報、経営情報等の商業情報を指します。商業秘密は企業の無形資産に属し、通常は企業のコアコンピタンスを構成する一部であり、企業の技術的進歩にとって極めて重要なものです。このため、当弁護士チームは企業の商業秘密に関するコンプライアンス管理について以下のとおり意見を提案します。

1.企業の商業秘密の範囲の決定

 企業が保有、管理または保管しており、企業または従業員によって組織、経営、企業管理の過程で取得された、企業に対して利害関係を有する全ての情報とその媒体、及び企業の経営·管理の過程で蓄積された商業情報、管理情報、技術情報を含むがこれ等に限定されないもの。例:企業の重要な方策、企業の戦略方針と重要な経営上の措置に関する会議、企業の各種財務に関する資料、研究開発の記録、技術報告書、技術提案書、テストデータ、テスト結果、企業の製造工程、設備、包装、企業の各種登記情報、文書、企業の従業員の身上調書、給料·賞与、人員配置、企業が締結した各種契約書、協議書、販売戦略、関連する書簡、顧客リスト、販売計画、事業及び購買計画、価格政策、財務資料、仕入れルート等。

特別な提案:従業員にとって、企業の秘密だけでなく、業務上知り得た企業の顧客、サプライヤー等の提携パートナーの商業秘密を守ることも重要です。提携パートナーの商業秘密を積極的に保護することは企業の提供における基本であり、企業の他者の権利の侵害を防ぐことにもなります。提携パートナーの商業秘密を自らの企業の秘密と同じように扱い、守秘義務を履行しましょう。

2.秘密保持に関する規則制度の確立

企業は以下の内容で企業の秘密保持に関する規則制度を確立することができます。

2.1上述の商業秘密の範囲の分類に基づいた企業秘密の管理。

2.2企業内部の秘密保持制度の確立。

2.3秘密保持制度の就業規則への盛り込み。

2.4商業秘密の保護グループを設置し、専任者に業務の管理を請け負わせること。

2.5健全な人事制度の確立、給与·福利厚生と人事考課制度の決定、人本主義的な管理の強化、従業員、特に中堅·高度人材の流出による商業秘密の漏洩する確率を下げること。

3.企業の情報管理の強化

企業は以下の内容について情報管理を強化することができます。

3.1オフィスのパソコンへのログイン用パスワードの設定、パソコンの操作履歴を記録するプログラムの導入、ファイルの暗号化システムの確立。

3.2機密性の高いフロッピーディスク、USBメモリ、CD-ROM等の移動記録媒体に対する「購入の統一化、ラベルの統一化、届出の統一化、追跡管理」の実行。

3.3重要な商業秘密を持つ部門への専用のファックスとプリンターの設置。

3.4ファイルの送信過程での暗号化、正規の企業のメールアドレスの使用。

3.5インターネット及びその他外部ネットワークに接続されたパソコンで企業の重要な商業秘密に関する電子文書や資料を扱うのを厳禁にすること。

3.6パソコンを修理のために外部の人員に引き渡す際、必ず先に機密に関わる保存デバイスを取り外し、商業秘密が修理業者に盗まれるのを防止すること。

4.従業員管理の改善

企業は以下の内容について従業員管理を強化することができます。

4.1従業員雇用の段階:秘密保持契約書、他者の知的財産権を侵害しない旨の誓約書への署名。

4.2従業員が就業する段階:職務上の秘密保持協議書、職務宣誓書への署名。

4.3従業員が離職する段階:離職秘密保持承諾書、離職従業員調査票への署名。

4.4機密に携わる従業員への定期的な研修の実行。企業は法律法規及び会社内の制度の厳格な遵守、会社の商業秘密漏洩の規則に違反しないこと、秘密保持協議書及び競業避止義務協議書で約定した義務の厳格な履行、親類·友人や無関係な人物と会社の商業秘密について議論しないこと等の内容で従業員に企業の秘密保持規定制度を遵守するよう要求することができます。また、会社の商業秘密の漏洩を防ぐため、機密文書を慎重に使用するよう従業員に注意を促すのも有効です。その他、従業員が企業の機密文書の授受や取り扱いに注意を払い、企業秘密が漏洩した場合は速やかに上司に報告し、企業の対応策に協力しなければならない旨を要求することもできます。

5.法律による保護の強化

5.1企業と対外的な宣伝、購買、販売、技術交流、投資協力等をする組織とのやりとりにおいて、商業秘密に関わる場合、秘密保持契約を締結し、守秘義務を履行するように要求し、会社の商業秘密を侵害する行為について有効で実行可能な違約条項を定めなければならない。

5.2商業秘密を漏洩させる行為が発見された場合、企業は実際の状況に応じて以下の法的手段を効果的に用いて自らの合法的な権益を保護しなければならない。

5.2.1商業仲裁の申請と民事訴訟の提起。

5.2.2企業と従業員の間に商業秘密に起因する紛争がある場合、労働仲裁を申請することができます

5.2.3商業秘密を侵害する行為が犯罪を構成することが判明した場合、企業は公安当局に報告しなければならず、公安当局が立件し調査する。

5.2.4会社は工商行政管理部門に苦情を申し立てることができ、監督検査部門は違法行為を停止するよう命じなければならず、また状況に応じて罰金を科します。


二、事例の共有

 2020年1月、深センの某製造会社は鄭氏を会社のエンジニアとして採用し、『労働契約』と『秘密保持協議』を締結しました。『秘密保持協議』では鄭氏が某社の商業秘密と技術に対する守秘義務を負うことが約定されており、技術秘密には製品設計構造、製品図面、製造用金型、エンジニアリング設計図、製造プロセス、製造技術、技術データとノウハウ、特許技術、科学研究成果(段階的成果を含む)及び顧客が提供した技術資料とサンプル等を含んでいます。もし鄭氏が契約に違反した場合、会社に一括で違約金(給料3か月分)を支払い、会社が契約違反により被った損害を補償しなければなりません。2020年10月、鄭氏は200人余りの参加者がいるWeChatのグループチャット内で会話をしている際、会社の複数の製品設計図を送信し、グループチャット内の参加者に設計図について不満を漏らしました。会社はこれを知った後、当弁護士チームに労働仲裁の申請を委託し、鄭氏が違約金と会社の受けた損害について賠償するよう要求しました。

 当弁護士チームは委託を受けた後、当該の製品設計図が会社の商業秘密を構成するかどうかについて、「公知ではないこと」、「会社に経済的便益をもたらすことができること」、「実用性を有すること」及び「会社が秘密保持の措置を講じていたこと」等の角度から証拠を収集して当該の製品設計図が会社の商業秘密であることを証明しました。同時に、当弁護士チームは鄭氏の毎月の給料·収入、鄭氏の行為によって会社に生じた実際の損害等の証拠を収集しました。この案件は仲裁、一審、二審を経て、仲裁委員会、裁判所は共に当方の請求を支持しました。

【事例内の経験の総括】

 鄭氏は会社と『秘密保持協議』を締結し、業務内のどの内容とどの事項が会社の技術秘密にあたるかについて、鄭氏は明らかに承知していました。但し、その勤務期間、公共のWeChatのグループチャット内において複数の製品設計図を送信し、会社の技術秘密を公表しました。その真の動機や会社に対して実際に損害を与えたかどうかに関わらず、その行為は守秘義務に違反しており、機密漏洩にあたります。鄭氏は守秘義務に違反する行為者として、これに対し責任を負い、対価を支払わなければなりませんでした。

 『民法典』第百八十六条の規定によれば、雇用者は損害を受けた側として労働者に違約責任を負うよう要求するか、またはその権利侵害について責任を負うよう要求するかのどちらかを選択する権利を有します。違約責任とは労働者が秘密保持の契約義務を履行しなかった、または適切に履行しなかったことにより負わなければならない不利な法的結果を指します。違約責任を負う方法には違約金の支払い、損害賠償を含みます。もし従業員が秘密保持協議に違反した場合、その行為が実際に損害を生じさせたかどうかに関わらず、雇用者は従業員に約定した内容に基づき違約金の支払いを要求することができます。もし違約金が異常に高額または異常に低額である場合、双方は適切な価格への引き下げ、または引き上げを要求することができます。もし従業員が守秘義務に違反したことで雇用者に実際に損害を生じさせた場合、雇用者は従業員に損害賠償を請求することができます。

【企業のコンプライアンス管理に関するご提案】

 従業員が会社の商業秘密を漏洩させることを防止するため、当弁護士チームは企業が以下のような措置を取ることをお勧めいたします。

1.商業秘密に対して秘密保持の措置を講じる。

2.従業員の入社時、労働契約書内で従業員の守秘義務について約定するか、または秘密保持協議書に署名をさせ、企業の商業秘密の範囲及び違約責任について明確にし、違約責任については、従業員が契約に違反した場合、企業は労働契約を解除する権利を有し、且つ経済補償金を支払う必要はないこと、同時に秘密を漏洩させた従業員に対し違約責任と全ての経済的損害を負うよう要求することを約定することができます。

3.従業員と競業避止義務協議書を締結し、従業員が競合他社で働くことを制限し、商業秘密が競合他社に流出することを防止します。注意しなければならないのは、企業と従業員の間で競業避止を約定した場合、企業は従業員が競業避止義務を履行することで得ることのできる経済補償金について明確に約定し、実際に関連する補償金を支給しなければならず、そうでない場合、競業避止義務は従業員に対して法的効力を持ちません。

4.従業員が離職する際、従業員に徹底して、遅滞なく業務に関連する資料を返却するよう要求すること。

5.従業員に秘密保持の保証人をつけるよう要求すること。特に重要な役職に就いており商業秘密を把握している一部の従業員に対し、企業は秘密保持の保証人をつけるよう要求する措置を取ることができます。企業と当該の保証人が契約を締結し、もし従業員本人が守秘義務に違反し、在職期間または離職後に企業の商業秘密が漏洩した場合、または競業避止の約定に違反した場合、保証人が代わりに賠償責任を負うよう約定し、従業員による権利侵害行為が発生した場合の損害賠償責任をある程度強化することができます。

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