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【車衛東弁護士チームニュースレター】2021年11月分(第十七号)

中国の最新法令情報や車衛東弁護士チームが担当した案件を通して企業のコンプライアンス管理等について解説するニュースレターの日本語版をお届けいたします。


一、最新法律情報


1. 2021年11月9日、最高人民法院は記者会見を開いて『虚偽訴訟の処罰業務の徹底した実施に関する意見』(以下略称『意見』といいます)及び人民法院による虚偽訴訟への処罰の典型的な事例を発表しました。『意見』は2021年11月10日から施行されます。

中国人弁護士による解説

1.1『意見』は10パターンのよく見られる虚偽訴訟及び虚偽訴訟を重点的に取り締まる分野を列挙しています。よく見られる虚偽訴訟には民間の金銭貸借に係る紛争、執行への異議申立訴訟、企業の破産に係る紛争、会社の分割(合併)に係る紛争、馳名(著名)商標に関わる商標紛争、立ち退きに関わる離婚、家族の離散による財産の分割、相続、建物の売買契約に係る紛争等があります。『意見』では、民間の金銭貸借は虚偽訴訟が比較的活発に行われている分野であることから慎重に審査しなければならず、民間の金銭貸借に係る訴訟を正確に見分け、厳格に防止し、厳重に処罰することを明確にしています。

このため、当職は民間の金銭貸借に係る案件の当事者が虚偽訴訟の刑事責任を追及されることを防ぐため、上述の点に注意するよう注意喚起いたします。

1.2虚偽訴訟を疑われることを防止するため、当事者は以下の状況を避ける必要があります。

1.2.1原告が提訴する際に根拠とする事実、理由が社会通念に合致しない。

1.2.2訴訟対象の金額と原告の経済状況が著しく不釣り合いである。

1.2.3当事者同士の間に親族関係、提携関係等の利害関係があり、訴訟の結果が訴外人の利益に関わる可能性がある。

1.2.4当事者同士の間に実質的な民事権益紛争が存在せず、訴訟における実質的な敵対的弁論がない。

1.2.5当事者の自認している内容が社会通念に合致しない。当事者が重債務に陥っているにも関わらず、明らかに合理的でない低価格で財産を譲渡する、明らかに合理的でない高い価格で財産の譲渡を受ける、または財産・権利を放棄する。

1.2.6案件に関する事実を認定するための証拠が不足しているにも関わらず、当事者が自発的且つ迅速に調停合意に達しており、人民法院に調停書の作成を求めている。

1.2.7当事者が自ら案件に関する事実を経験しているにも関わらず、案件に関する事実について完全且つ正確に陳述できない、または陳述内容が矛盾している等。

1.3虚偽訴訟の刑事責任が厳しく追及されます。虚偽訴訟行為が刑法と司法解釈の規定する罪状を確定する基準に適合する場合、法に基づき虚偽訴訟等の罪に認定され、行為者の刑事責任が厳しく追及されます。虚偽訴訟の犯罪の実施、他人の財産の不法な占有または法律上正当な債務からの逃避が、詐欺罪、業務上横領罪、判決・裁定執行の拒否罪、(国家公務員による)横領罪等の犯罪にも該当する場合、処罰が重い方の罪名で罪状が確定され、厳しく処罰されます。複数名が共謀して実施する虚偽訴訟の共同犯罪において、罪責が最も重大な主犯、虚偽訴訟の犯罪による前科があり再び虚偽訴訟を起こした被告人に対しては、厳格さを十分に反映させ、執行猶予や刑事罰免除の適用範囲が調整されます。


2. 広東省における就業と失業の登録管理をより整備するため、広東省の人力資源境保障庁は『広東省の就業・失業登録管理弁法』(以下略称『弁法』といいます)を公布し、2021年11月1日から施行します。有効期限は5年です。

中国人弁護士による解説

2.1適用範囲。『弁法』は雇用者による就業登録、及び都市・農村労働者による就業・失業登録に適用されます。香港、マカオ、台湾住民については、内地(大陸)労働者を参考にして就業・失業登録を行います。外国人には『弁法』は適用されません。

2.2就業登録と社会保険登録。『弁法』は、雇用者と労働者が労働関係を確立した際、雇用開始日から30日以内に就業登録の手続きをしなければならないことを打ち出しています。雇用者と労働者が労働関係を終了または解除した後は、15日以内に就業登録を取り消す必要があります。雇用者が労働関係の確立に完全には適合していない新たな就業形態の労働者に就業の機会を提供している場合、関連する人員について就業登録の手続きをする必要はありませんが、関連規定に従い人力社会保障部門に雇用状況の報告はしなければいけません。

『弁法』は、就業登録と社会保険登録について情報共有を行うことを規定しています。雇用者は登記・登録した所在地の就業・失業登録機関で就業登録の手続きをしなければいけませんが、既に社会保険の登録手続きが済んでいる雇用者は、単独で就業登録の手続きをする必要はありません。

 雇用者が規定に応じて企業の従業員の養老保険または失業保険または労災保険(プロジェクト単位または特定の人員の身分に応じて労災保険に加入する場合を除く。以下同様)の加入者増加の登録の手続きをする場合、これに対応する人員が就業登録をしたものと見なされます。規定に応じて企業が従業員の養老保険、失業保険と労災保険の加入者減少の登録をした場合、これに対応する人員の就業登録が取り消されたものと見なされます。

上述の内容を総括しますと、雇用者は『弁法』の規定に基づき遅滞なく労働者の就業登録の手続きや取り消しを行い、就業登録の手続きをする必要がない場合は、遅滞なく人力資源社会保障部門に雇用状況を報告することをお勧めいたします。もし雇用者が既に社会保険登録の手続き、取り消しを実行済みである場合は、改めて労働者の就業登録をする必要はありません。

2.3自ら起業した者、非正規雇用労働者の就業登録。『弁法』第十条は、労働者が広東省の行政区域内で自ら起業した者、非正規雇用労働者等の形式で就業を実現しており、且つ雇用者と労働関係を確立してない場合、本人の自由意志で個人の身分で就業登録の手続きをするものとする、と規定しています。自ら起業はしているものの、雇用者の下で企業従業員の養老保険に加入している労働者は、雇用者が就業登録をしなければいけません。


3.2021年11月8日、国家知的財産権局は『非正常専利(特許、実用新案、意匠)出願の代理行為に対するより厳格な取り締まりに関する通知』を公布し、これにより専利出願の正常な秩序をより体系化します。

中国人弁護士による解説

3.1『通知』は、各地で非正常専利出願の代理行為に関連する通報情報に基づき、国家知的財産権局が重点的に監督・処分する案件、及び繰り返し非正常専利出願の代理を繰り返す代理機構について、法に基づき速やかに取り締まり、厳しい処罰を与えることを打ち出しています。

3.2国家知的財産権局は継続して一人あたりの代理数が過度に高い代理機構、及び代理数の増加速度に明らかな異常のある代理機構を注視し、適時関連する省(自治区、直轄市)の知的財産権局に引き継ぎ、重点的な監督管理を行います。

3.3国家知的財産権局は引き続きビッグデータによるスクリーニング、監視・制御を強化し、資格のない機構が非正常専利の出願業務に従事している手がかりを突き止め、遅滞なく関連する省(自治区、直轄市)の知的財産権局に引き継いで調査・処分します。各地で取り締まりが強化され、無許可の専利出願代理業務行為は厳格且つ迅速に調査・処分されます。

このため、当職は専利出願代理機構がこの点を特に重視し、専利出願代理業務に従事する前に関連する資格を取得し、また、非正常専利申請、専利の捏造等の行為を防止するよう注意喚起いたします。


4.2021年11月3日、広東人民代表大会常務委員会公式サイトは『広東省知的財産権保護条例(草案修正稿・意見募集稿)』(以下略称『条例』といいます)を公布し、2021年12月1日まで公開で意見を募集します。

中国人弁護士による解説

 『条例』は包括的な知的財産権の保護、イノベーションの活性化、広東の市場志向化、法治化、国際的なビジネス環境の最適化に役立ちます。『条例』の主な内容は以下のとおりです。

4.1知的財産権の包括的な保護。

4.1.1重点分野における独自の知的財産権の源泉保護を強化し、専利(特許、実用新案、意匠)出願、商標登録や版権登録について厳格に基準を設け、法に基づき非正常専利申請、悪意のある商標登録、投機的な商標登録、著作物の著作権の重複した登録や悪意ある登録等の行為を調査・処罰します。

4.1.2ビッグデータ、人工知能、ブロックチェーン等の新技術を利用し、事件に関わる手がかりや情報の検証、遡及してオリジナルを特定すること、重点商品の流れの追跡、重点作品のオンラインでの普及、権利侵害のリアルタイム監視とオンライン識別、採証・証拠保全、オンライン紛争解決等の分野で知的財産保護の方法を革新します。

4.1.3重要な分野、重点プロセス、重点グループの知的財産権の行政保護のための特別措置を実施し、模倣品の発生源及び繰り返される権利侵害、悪意ある権利侵害、グループによる権利侵害等の行為に対する調査・処罰と取締を強化します。

4.1.4専利の迅速な審査システムの構築を促進し、関連する規定に基づき、国が重点的に開発する産業や広東省の戦略的新興産業等に専利出願と権利確認のための優先審査制度を提供します。

4.1.5海外の知的財産権に係る紛争に対応するための指導システムを確立・改善し、海外の知的財産権保護サービスを強化します。

4.2知的財産権の行政保護技術調査官制度の確立。技術調査官は任命または委託された技術的な事実調査の範囲、順序、方法について意見を述べ、調査・証拠収集への協力、その方法、手順等について意見の提出及び技術審査意見書等の作成をします。

4.3知的財産紛争事件の調停への注力と公平、効率的な知的財産権紛争の処理。『条例』は、知的財産権保護を担当する部門、司法行政部門による知的財産権の調停システム構築の強化、知的財産権保護センターの支援と指導、迅速な知的財産権保護センター及び関連する社会組織による調停システムの構築、知的財産権紛争の調停の実施、公平且つ効率的な知的財産権紛争の処理を打ち出しています。知的財産権保護を担当する部門、司法行政部門は人民法院と訴訟・調停の橋渡し業務を行い、オンライン・オフラインの調停と訴訟を滞りなく引き継げるようにしなければいけません。

4.4知的財産権に係る信用失墜行為のもたらす悪影響。自然人、法人と非法人組織に知的財産権に係る著しい信用失墜行為があった場合、3年以内は政府の優遇政策による支援、政府の財政資金プロジェクトへの申請及び表彰・奨励等の活動への参加ができず、関連する状況は公的な信用情報システムに登録されます。

4.5弁護士による助言

 現在、中国はますます知的財産権の保護を重視するようになってきています。他人の知的財産権の侵害を防ぎ、自身の知的財産権を保護するため、当職は企業が以下の点について注意なさることをお勧めいたします。

4.5.1海外投資、展示会への参加、企業誘致と資金導入、製品または技術の輸出入業務を行う際、速やかに関連する国家、地区に関連する知的財産権に関する状況を検索、照会すること。

4.5.2知的財産権を行使する際、これを濫用して独占行為または不正競争行為を実施しないこと。

4.5.3知的財産権を保護する義務を履行し、知的財産権の保護を担当する部門や知的財産権の関連部門による指導、監督・管理を受け入れ、行政機関の法執行活動に協力し、保護意識を強化し、自己防衛能力を向上させること。

4.5.4該当する企業は、健全な知的財産権保護システムを確立させ、知的財産権の管理部門または役職を設けることで、より包括的に自身の知的財産権を保護し、合法且つコンプライアンスに則った知的財産権の行使をすることができます。


5.2021年10月12日、国家税務総局は『税務分野における“放管服(行政簡素化と権限委譲、権限委譲と管理の両立、サービスの向上)”改革の更なる深化 市場の主体活力の育成と活性化の若干の措置に関する通知』(以下略称『通知』といいます)を公布し、15件の新たな措置を実施し、税務分野における“放管服”改革を更に深化させ、市場志向化、法治化、国際化されたビジネス環境の構築を支援します。

中国人弁護士による解説

 『通知』は更なる市場の主体活力の活性化、公平な徴税環境の保護、徴税・ビジネス環境の向上のための制度的な取引コストの引き下げ、税務・法執行と監督・管理の改善、税金・費用の支払いに関する利便性の継続的な向上を強調しています。

注意すべき点としては、『通知』がストック・インセンティブの個人所得税管理の強化を打ち出していることです。個人所得税に関連する政策を厳格に執行し、ストック・インセンティブを実施する企業はこれを決定した翌月の15日以内に所轄の税務機関に『ストック・インセンティブ状況報告表』の申告、関連する規定に応じた関連資料の届け出をしなければいけません。ストック・インセンティブの計画が既に実施されているがまだ完了していない場合、2021年年末までに所轄の税務機関に『ストック・インセンティブ状況報告書』と関連資料を補足して申告する必要があります。国内の企業が国外の企業の株式を対象としてストック・インセンティブを実施する場合、給与所得に応じて個人所得税を源泉徴収し、遅滞なく所轄の税務機関に『ストック・インセンティブ状況報告表』と関連資料の届け出をしなければいけません。


二、個人情報保護と企業コンプライアンス管理

 2021年8月20日、第十三回全国人民代表大会常務委員会第三十次会議において『中華人民共和国個人情報保護法』(以下略称『個人情報保護法』といいます)が通過し、2021年11月1日から施行されます。これは中国初の個人情報の保護に特化して焦点を当てた法律であり、現在当該の法律は既に発効しています。

一、『個人情報保護法』の要点と注目点

(一)「個人情報」の定義の明確化

 『個人情報保護法』第四条は、個人情報とは電子またはその他の方法で記録されている、既に識別された、または識別することのできる自然人に関連する各種情報のことであり、匿名化処理された情報は含まないことを明確にしています。個人情報の処理には個人情報の収集、保存、使用、加工、送信、提供、公開、削除等を含みます。このほか、『個人情報保護法』は「機微情報」の範囲を列挙しており、具体的には個人の生体認証情報、信仰している宗教に関する情報、特定の身分に関する情報、金融口座の情報、所在地情報等の情報及び14歳未満の未成年者の個人情報を含みます。

注意すべき点:個人の機微情報は一度漏洩または違法に使用されてしまうと、容易に自然人の人格・尊厳を侵害したり、人身・財産の安全を脅かしたりする状況を引き起こすため、一般的な個人情報の処理と比べて、個人の機微情報を処理する際の企業に対する要求はより高く、企業は情報を処理する特定の目的と十分な必要性を事前に明確にしておかなければいけないだけでなく、情報を保護する厳格な措置も取らなければいけません。また、『個人情報保護法』は匿名化処理された情報が個人情報には該当しないことを明確にしているため、当職はこの認定がデータの安全保護における個人情報の匿名化処理技術の研究開発、応用及び革新を推進させるものと考えます。当職は企業が従業員や顧客の情報を使用しなければならないが、正当な理由がなく、且つ従業員や顧客の同意を得ていない場合、匿名化処理をすることにより権利侵害のリスクを防止することをお勧めいたします。

(二)正当な理由がある場合は本人の同意を得ずに個人情報の処理ができること

『個人情報保護法』第十三条は情報を処理する者が本人の同意を得る義務を免除される5つの理由を規定しています。1.個人が一方当事者として契約の締結、履行に必要とする場合、または法に基づき制定された労働規則制度と法に基づき締結された労働協約に応じて人事管理を行う際に必要である場合。2.法定の職責または法定の義務の履行に必要である場合。3.突発的な公衆衛生に関わる事件に対応するため、または緊急の状況において自然人の生命、健康と財産の安全を保護するために必要である場合。4.公共の利益のための報道、世論の監督等の行為を実施し、合理的な範囲内で個人情報を処理する場合。5.個人が自ら公開した、またはその他の既に合法的に公開されている個人情報を本法の規定により合理的な範囲内で処理する場合。

上述の5つの正当な理由は個人情報を処理する際の制限を大幅に緩和し、個人情報に対する個人と企業の異なる要求について効果的にバランスを取ることができます。上述の5つの正当な理由のうち1つを満たせば、企業は従業員の同意を得ずに直接従業員の情報を処理することができ、もし企業が労働契約書内で従業員のために商業保険に追加で加入する場合、企業は当該の約定に基づき従業員の対応する個人情報を商業保険の加入に用いることができ、その際に従業員の同意を得る必要はありません。

(三)個人情報を国際間で提供する場合の規則の改善

『個人情報保護法』の規定によれば、個人情報を国際間で提供する場合は以下の点に注意が必要です。1.中国が締結している、または参加している国際条約、協定に従い、国外への個人情報の提供、国外への個人情報の送信をする場合の保護は中国の保護基準を下回ってはいけません。2.処理した個人情報が中国のインターネット情報部門の規定する数量に達した個人情報処理者は、中国国内で収集・生成した個人情報を国内に保存しなければならず、業務上の必要性から、確かに国外に提供しなければならない場合、国のインターネット情報部門による安全評価に合格しなければいけません。3.中国国外の司法または法執行機関が中国国内に保存されている個人情報の提供を要求する場合、中国の管轄機関の承認を得なければいけません。4.個人情報処理者が中国国外に個人情報を提供する場合、本人に国外の情報提供先の身分、連絡先、処理目的、処理方法、個人情報の種類及び本人が国外の情報提供先に対し本法の規定による権利を行使する方法等の事項を告知し、本人による個別の同意を得なければいけません。

弁護士による注意喚起:個人情報の国際間での提供は国家の安全問題、公共の利益等に関連する重大な利益に関わる可能性があることから、国際間で従業員または顧客の個人情報の提供をする予定のある企業は不必要な行政による監督管理を防止するため、事前に十分な安全評価または個人情報保護認証等の関連業務を徹底する必要があります。

(四)個人情報処理に関する原則の明確化

 『個人情報保護法』は全面的に個人情報を処理する際の基本的原則を規定しており、個人情報を処理する際には合法性、正当性、必要性と信義誠実の原則に従わなければならないこと、明確且つ合理的な目的を持ち、処理目的に直接関連がなければならないこと、個人の権益への影響が最も小さい方法を取らなければならないこと、処理目的を実現するための最小範囲に限定しなければならないこと、処理に関する規則を公開しなければならないこと、情報の質を保証しなければならないこと、安全保護措置を取らなければならないこと、違法な情報の取得及び提供の禁止等を強調しています。企業は個人情報を使用する際に前述の原則に厳格に従い、不適切な処理による権利侵害を起こすことを防止する必要があります。

(五)個人への十分な権利の付与

 『個人情報保護法』は個人情報に対する多方面における権利を確立しており、これには個人情報の処理についての知る権利、決定権、説明を求める権利、拒否権等 / 個人情報処理の過程における訂正を求める権利、補足する権利、削除権等 / 情報処理者の把握している個人情報についてのアクセス権、コピーする権利、行使権の継承、ポータビリティ権等が含まれています。注意すべきなのは、個人情報のポータビリティ権の確立が異なるインターネット上のプラットフォーム間での個人情報の移動、データの相互利用にコンプライアンス方針を提供している点です。

特別な注意喚起:自然人が死亡した場合、その近親者は自身の合法、正当な利益のため、故人に関連する個人情報について本章で挙げた規定のアクセス、コピー、訂正、削除等の権利を行使することができますが、故人が生前に別途取り決めをしてある場合を除きます。

(六)個人情報処理者の義務の明確化

『個人情報保護法』は個人情報処理者の義務について厳格且つ詳細な規定を設けており、これには主に以下の内容が含まれます。1.個人情報処理者の個人情報処理活動が合法的であることを確実に保証し、個人情報の安全を保護するための措置を講じる義務。2.規定に従い個人情報保護の責任者を指定する義務。3.定期的にコンプライアンス監査を実施する義務。4.各種リスクの高い個人情報の処理活動に対し個人情報保護の影響評価を行い、処理状況を記録する義務。5.個人情報の漏洩、または漏洩の可能性がある等の安全上の事故が発生した場合、直ちに救済措置を取り、監督管理機関と本人に通知する義務。企業が個人情報を処理、使用する際は個人情報の処理、保護が不適切であるために違法行為が生じることを防止するため、前述の義務を履行しなければいけません。

(七)個人情報保護違反行為に対する厳罰化

 『個人情報保護法』は『インターネット安全法』、『データ安全法』をベースとした上で、個人情報の侵害に対する罰則を強化し、個人情報処理者に対する行政処分の厳格化、信用情報への掲載や公表、民事賠償責任、刑事責任等について規定しています。行政責任において比較的高い金額の罰金を規定していることから、個人情報の侵害行為に対する取り締まりの厳しさ、明確な個人情報保護重視の姿勢が見て取れます。『個人情報保護法』で設けられた罰則は一般的な違法行為を包括的に網羅し、あらゆる違法主体を非常に正確に取り締まるものになっており、罰則の増加と罰則の強化は企業が違反行為をした場合のコストを大幅に増加させているため、企業はこの件を重視する必要があります。

二、企業のコンプライアンス管理

(一)従業員の個人情報に関するコンプライアンス管理

 大多数の企業にとって、『個人情報保護法』が影響を及ぼすのは主に従業員の個人情報の収集と処理の部分であり、企業は従業員の管理者として、従業員の個人情報管理における直接の責任主体であり、以下の面においてコンプライアンス管理を徹底しなければいけません。

1.個人情報処理の原則の遵守

企業は従業員の情報を収集、処理する際、合法性、正当性、必要性と信義誠実の原則に従い、不当な誘引や詐欺的な方法を用いて情報を得てはいけません。また、明確且つ合理的な目的があり、処理目的と収集する情報には直接的な関連がなければならず、同時に、個人の権益への影響が最も小さい方法を取り、処理目的を実現するにあたっての最小範囲に限定し、過度に従業員の情報を収集してはいけません。

2.安全保護措置による従業員の個人情報漏洩の防止

企業は内部の組織構造に基づき、専門の部門(例えば総務部や人事部等)を決めて従業員の個人情報の保管、管理及び使用を行うようにします。従業員の信仰している宗教に関する情報、健康診断の報告書、銀行口座の情報、所在地情報等の個人の機微情報ついては、電子文書ファイルの暗号化、紙の文書には専門の保管・倉庫設備を設ける等の特別な保護措置を取らなければいけません。

3.従業員の個人情報を使用する際に従業員の同意を得ること

 企業は以下の状況下で従業員の情報を使用する際に従業員の同意を得なければならないことに注意する必要があります。

(1)関連企業に従業員の個人情報を提供する等、他者に個人情報を提供する場合 / 従業員のホテルや航空券等の予約をするためにホテルや航空会社に従業員の個人情報を提供する場合 / 従業員の研修において第三者の研修機関に従業員の情報を提供する場合、等。

(2)従業員の写真、名称、役職等の情報を含む表彰状を公開したり、企業の対外的な宣伝において従業員の写真や動画を使用したりする等、従業員個人の情報を公開して使用する場合。

(3)Webカメラで収集した個人の画像・映像、身元識別情報をマーケティングに使用する等、公共の場所に設置された画像・映像採集設備、個人の身元識別設備により収集された個人の画像・映像、身元識別情報を公共の安全の保護以外のその他の目的で使う場合。

(4)従業員の傷病休暇の審査・批准のために収集した従業員の病歴または診断報告書、顔認識、指紋認証によるタイムカード打刻機の設置等、従業員個人の機微情報を処理する場合。

(5)国外の本社に従業員の個人情報を送信する等、従業員の個人情報を中国国外に提供する場合。

(二)顧客の個人情報に関するコンプライアンス管理

 顧客の情報について、企業は個人情報処理の原則に従い、安全・秘密保持の措置を取る以外に、従業員に対しコンプライアンスに則り顧客の情報を使用する方法について条件を設ける必要もあります。これについて、当職は企業が従業員のコンプライアンス意識を強化し、従業員が顧客の個人情報を濫用または不正に使用すること、顧客の個人情報の保存方法が不適切であるために不必要な紛争が生じることを防止するため、定期的、または不定期にコンプライアンスの要点に関する研修活動を実施することをお勧めします。

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