アリババ、タオバオなどのプラットフォームから中国製品を購入し、転売するビジネスについて、多くの個人や企業が中国側との秘密保持契約も交わさないまま実施している状況がよく見られます。将来的に企業として転売だけをしていく方針であるなら問題ないとお考えの方も少なくないかもしれません。しかし、安定した利益を求め、企業のブランド力を向上させたいとお考えの場合、中国企業との契約を適切に行うことをお勧めいたします。また、知的財産権に関しても注意が必要です。
1.営業機密の漏洩に関するリスク
日本企業が機密保持契約を締結せずにアリババで製品を購入した場合、中国企業はその販売実績を証明するため、関連する他社に対し安易に情報を開示することがあります。その情報や購入計画データ入手した他社が、それ等に基づいた自社開発戦略を策定することにより、日本企業が自社のスペックを上回る商品を他社によって販売されてしまう、といったケースも見られます。
一般的な企業では、自社製品の核心となる如何なる情報も営業機密として扱い、漏洩させてはならないとしています。しかし、秘密保持契約を交わしていない状況においては、たとえ機密情報が漏洩されても、その責任を中国企業に負わせることは非常に困難です。今後、長期的に企業として商品販売を行う計画がある場合、中国企業や工場との機密保持契約を早急に結ぶことをお勧めします。
2.知的財産権侵害におけるリスク
中国企業はしばしば知的財産権を侵害することがあります。アリババなどで購入した製品について知的財産権の授権がないことを把握しないまま他の場所で販売し、権利侵害で訴えられるケースもよく見られます。例として、日本企業がアリババから製品を購入し、中国企業が知的財産権に関する法的問題をクリアしていない場合、権利者はまず中国企業を訴えます。訴えを起こされた中国企業は訴訟の際、当該の日本企業の購入情報も開示します。これにより権利者が当該の日本企業の日本国内のプラットフォームでの販売行為に対しても権利侵害に関する訴訟を提起する危険性があります。
上記のような状況が発生することを防ぐため、事前に日本企業と中国企業が秘密保持契約を締結し、双方の責任を明確にし、中国企業が日本企業の購入情報を無断で開示しないよう約定することができます。また、関連する権利者や日本企業は、権利侵害で訴えられるリスクを大幅に軽減させることもできます。中国企業が販売する製品について法的義務を果たしていなかったことにより紛争が生じた場合の責任についても双方合意の上で約定した場合、日本企業は中国企業の契約違反に対する責任を追求することができ、これにより自社を保護することができます。
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