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【車衛東弁護士チームニュースレター】2020年8月分(第三号)

中国の最新法令情報や新型コロナウイルス流行下での企業の生存と発展の道、会社解散の際の実務とリスク等について解説するニュースレターの日本語版をお届けいたします。


一、最新法律情報


1. 2020 年07 月21 日国務院弁公庁は、『ビジネス環境のさらなる最適化による市場主体へのサポート強化に関する実施意見』(国弁発〔2020〕24 号)を発表した(以下「意見」)。

 外資貿易企業の経営環境を最適化する内容と各部門の職責と分業は以下の通りである。

1.1 輸出入の通関を更に効率化する。輸出入貨物の「事前申告」を推進。企業が事前に申告手続きを行うと税関は貨物が税関の監督作業場所に到着した直後、貨物の検査、直ちに通関の手続きを行うことが可能となる。輸入の「二段階申告」通関モードを最適化する。企業は「概要申告」を行い、且つ税関がリスク調査処理を完了した後、企業は貨物を搬出することを許可される。条件が整った監督管理作業場で輸入商品の「船辺直提(船からの直接荷下ろし)」と輸出商品の「港着直装(船への直接荷揚げ)」の試験を実施する。検査作業の全過程の監視し記録を残すことが推進され、条件を満たす場所では企業が自主的に検査に同行するかどうかを選択することが可能となり、企業の負担を軽減することが可能になる。通関時間を短縮するために、税関が一日における制限や通関の制御をする等の不合理な措置を簡単に行うことを厳禁する。(税関総署主導により国務院関連部門及び各地区は職責に応じて分担して責任を負う)

1.2 国際貿易の「単一窓口」機能を発展させる。「単一窓口」の機能の普及を加速し、税関検査場により港の物流、貿易サービスなどの全チェーンを発展させる法律を施行し、港、船舶代理店、検数等の料金基準のオンラインでの公開と検索を実現する。機密情報等、特殊な状況を除き、輸出入に関わる監督管理証明書は原則として「単一窓口」を通して受理し、関係部門がそれぞれ監督管理を行い、企業のオンラインでの支払い、証明書の自動印刷の実現を推進する。(税関総署主導により生態環境部、交通運輸部、農業農村部、商務部、市場監督管理総局、国家薬監局等の国務院関連部門及び各地区は職責に応じて分担して責任を負う)

1.3 外資貿易企業の投資と経営の制限を更に軽減する。外資貿易企業の輸出商品の国内販売を支持し、従来の国内認証から外資対外貿易企業の自己声明等の方法により国内関連認証への変更を推進する。すでに関連国際認証を取得し、かつ認証基準が国内基準を下回らない製品に対しては、外資貿易企業が国内標準に合致する承諾書を作成してから直接市場で販売を行うことを許可し、事中事後の管理監督を強化する。全国のすべての地級市及びそれ以上の都市に外商投資企業の登記を行う権限を与える。(商務部、市場監督管理総局等の国務院関連部門及び各地区は職責に応じて分担して責任を負う)


2. 2020 年7 月1 日、河北省は大口の現金管理の試験的プロジェクトを全面的に展開。7 月7 日に中央銀行は「振替が10 万を超えると厳重調査」とは誤読であると回

答。

 大口の現金管理の対象は商業銀行の窓口で発生する取引、一定金額以上、現金現物の出し入れの業務である。企業の口座の管理金額の基準となるのは50 万元以上で、個人口座の管理金額のそれぞれ河北省10 万元以上、浙江省30 万元以上、深セン市20 万元以上である。パイロット地区では大口の現金引き出しの事前予約、大口の預け入れと引き出しの登録、大口現金分析レポート、監督検査等の制度を段階的に確立し、規範化する。企業は、現在の大口現金管理は現金の預け入れと引き出しに限られており、銀行振替(会社対会社、会社対個人、個人対個人を含む)は依然として「金融機関大口取引と不審取引報告管理弁法」によって規定される。


3. 2020 年7 月5 日、国務院総理の李克強は第728号の国務院令に署名し、「中小企業への代金支払保障条例」(以下「条例」という)を公布し、2020 年9 月1 日から施行するとした。

 この条例の公布は、中小企業の合法的な権益を保護するために、より明確な規定を作り、中小企業の発展に対する自信を強化し、操業再開を促進し、企業のビジネス環境を適正化することに有益である。国務院が長期効果的なメカニズムを確立し、中小企業への未払い問題を解決し、一部の政府部門、大企業が優位な立場を利用し中小企業への金を滞納する行為を是正するための重要な措置である。例えば第八条では、「公的機関、公的事業法人は中小企業から貨物、工事、サービスを購入する場合、貨物、工事、サービスが納められてからら30 日間以内に代金を支払うべきであるとしている。また契約に別途の約定がある場合、支払期限は最長で60 日を超えてはならない」と規定しており、公的機関、公的事業法人が中小企業から貨物、工事、サービスを調達する最長の支払期限を明確に定めている。企業は公的機関、公的事業法人、大手企業との取引において、今後は契約書に定められた内容により注意し、できるだけ条件を改善するべきである。


4. 2019 年12 月深セン市計画と自然資源局は「深セン市工業及びその他産業用地供給管理弁法」、「深セン市土地区画の地価測定規則」などの文書を発表。

 上記の文書の登場は、深セン市が優良企業が深センに定着することを保障するために、企業に最も便利なルートと最も安い価格で産業発展空間を獲得させる決意を表している。2019 年12 月、深センは世界企業誘致大会の開催に成功し、30km2 の産業用地をリリースし、企業の用地コストの優待をした。このうち、重点産業プロジェクトは市場価格の35%(共同競売は30%)を最低価格として譲渡し、重点産業プロジェクトの選考後、深セン普通工業用地(M1)の地価の平均レベルはは約357 元/㎡(楼面価格)である。この政策が導入された後、多くの企業が極めて低い価格で産業用地を取得した。例えば、領益科技(深圳)有限公司は今年7 月29 日に9650 万元で龍崗区の地区を取得した。総敷地面積は3.68 ヘクタールで、総合楼面価格は598 元で工場の一部の楼面価格は316 元である。


二、新型コロナウイルス流行下での企業の生存と発展の道

(一)「深セン市2020 年安定外資、発展を促進する若干の措置」(以下「本措置」という)を活用し、政府の企業発展に対する政策支援を獲得する。  この措置は中国の開放をさらに拡大し、外商投資促進を強化し、外商投資保護水準を向上させるための積極的なサインである。5 つの面で21 条の具体的な措置を含み、各企業は以の内容に重点的に注意することができる。 1.1 財政支援政策を十分に活用する政府は年間で実際に外資を使用した金額区分別に(外資株主ローンを含まれない。以下同様)に基づき、外資投資企業に新規設立と増資(不動産業、金融業及び銀行類金融機関の項目は別途関連業界の優遇政策によって実行される。以下同様)に対して金額別の奨励を与える。年間の実際の外資使用金額が500~1000 万ドルの外資投資企業には奨励100 万元、1000~2000 万ドルの企業には200 万元。2000 万ドル以上の企業には250 万元の奨励が与えられるとした。一企業の年間奨励金額は最高で250 万元以である。年間の実際の外資使用金額が5000 万ドルを超えた外資投資企業が新設または3000万ドルを超える増資をする場合、5000 万から最高1 億元の奨励が与えられる。 1.2 企業用地の安定 世界の500 強企業、全世界の業界トップ企業及びその他の優秀な外商投資企業に対して、我が市で用地を申請する場合、関連政策に従って用地を供給することが可能。産業用不動産の分類・等級別管理メカニズムを確立し、標準的な工場、革新型産業用住宅の調達力を強め、産業不動産の賃貸期間と賃料の安定を促進する。各種類の不動産を所有する主体(工場、革新型産業用地、オフィスビル、農産物卸市場、店舗、物流施設、商業総合施設用地等を含む)を奨励し、外商投資企業の賃貸料の減免を強化する。 1.3 企業の労働力の雇用を最適化し、安定した雇用の援助当弁護士チームは疫病の影響が大きく、生産任務のバランスの取れていない労働集約型企業に対し、法律に従いフレックスタイム制と勤務時間総合計算労働制の実施を申請をお勧めする。フレックスタイム制とは、生産の特徴、業務を遂行するにあたり特殊な理由または職責の範囲により、標準の勤務時間ではなく、固定されない勤務時間を採用する労働時間制度である。勤務時間総合計算労働制とは、仕事の性質が特殊であるか、季節や自然条件によって制限受る為、週、月、季、年等を一周期として設定し、勤務時間を計算する労働時間制度を指す。 注意:企業がフレックスタイム制または勤務時間総合計算労働制を申請する場合、企業法人工商営業許可証の登録地県級以上の労働保障行政部門の審査が必要となるため、要求に従って書類を提出しなければならない。 (二)企業契約リスク管理とプロセス管理の強化、適時に契約金を回収し、キャッシュフローを安定させる。  企業のキャッシュフローは企業にとっての血液とも言える。感染症の流行により、多くの企業は長期的に良好な関係で合ったビジネス取引先が契約に基づいて期日通りに代金及びその他の買掛金を支払うことができないという問題に直面している。企業は迅速に回収ができない場合自身のキャッシュフローに問題がでてくるリスクがあっても、直接取引先に支払いを強要すると、場合によっては双方の長期的な友好関係にもネガティブな影響を与えかねない。もし双方において解決策を見いだせることができれば、長期的な友好関係を維持することができ、また比較的タイムリーにキャッシュフローを回収することができる。相手側が期日通りに代金を支払ってこない、あるいは代金の支払いを拒否する原因は多くの場合、社内契約のリスクマネジメントとフローマネジメントが規範化していないためである。フローの見直しと契約書等の書類を改善することが大変重要である。 本弁護士グループが最近某企業から委託を受けて、売掛金回収を行った例:依頼人が長年商品を供給している3社の取引先があり、今年この3 社の取引先は供給契約書の約定に従い、期限通りに代金の支払いをおこなっていなかった。依頼人は長期的な協力関係及び今後のビジネスを考慮して、相手方に権利を主張できずにいた。本グループは委託を受けた後、依頼人と取引先に関しての調査を行い依頼人に解決策を提出した。先ず、相手方に弁護士からの書面通知を送り、代金の未払いの事実が存在することへのリマインドを行った。取引先は弁護士の書面通知を受け取った後、積極的な対応をし、依頼人に対して代金の支払い滞りなく代金が完了したため依頼人のキャッシュフローの圧迫を解決することができた。同時に、当グループは依頼人から内部の管理プロセスの改善の依頼も受け対応を行った。 (三)適時債権を主張し、利息の損失を避ける。 7 月22 日、最高人民法院は国家発展改革委員会と共同で関連文書を発表し、民間貸付の司法解釈を改善し、民間貸付による金利の司法による保護上限を大幅に下げ、高利転貸行為、違法貸付行為を断固否定した。民間の賃借金利の上限は年利率24%から年利率12%~15%に引き下げられる可能性があるとされている。『民間賃借事件の審理に関する法律適用の若干の問題に関する規定』第26 条の規定により、借入金利が年間で24%を超えていない場合は司法で保護される範囲とされ、企業が他の企業または個人に貸付する際の借入の年利率が24%を超えていない場合、法律によって保護されることになる。年利率が36%を超えると約定されている場合は、法律により保護されない。年利率が24%から36%の間は自然債務に属しており、約定された利率が当該範囲内にある場合、すでに借主がその範囲内の利率で利息を支払っている場合は、貸主に返済を要求することはできない。借主がまだ利息を支払っていない場合は、借主への支払請求は認められない。貸主は最大24%の年利率を主張できる。したがって、企業が他の企業または個人に貸付する場合は、『民間賃借事件の審理に関する法律適用の若干の問題に関する規定』第26条の規定に基づいて、約定した利息を認定し、処理することができる。当チームは企業が適時に債権を主張することを提案する。そうでない場合、最高人民法院で民間の貸付金利の司法保護上限が確定された後、債権を主張する場合、利息で大きな損害を受ける可能性がある。 注意:企業が他の企業または個人に貸付する場合、監督管理部門の承認を経ず、または経営範囲を超えて、営利を目的として、常に社会の不特定の対象に融資をしたり、年率36%を超えて貸付したりした場合、違法経営罪に問われる可能性がある。企業は民間の貸借、違法融資、違法経営罪の境界線に注意しなければならない。専門家に相談しリスクを冒さないようにすべきである。


三、会社解散の際の実務とリスクの提示

 今回のコラムでは引き続き、新型コロナウイルス流行の影響による会社解散の際の実務と企業解散の過程で注意すべきリスクを研究し、検討します。車衛東弁士はこれまでの会社解散の経験を総括することによって、企業に従業員の解雇処理において、次のような問題を重点的に考慮するよう御提案します。


1. 事前の関連管理部門とのコミュニケーションの準備、解散事項の公告

1.1 企業の所在地の労働局の派出所や街道弁事処等と事前にコミュニケーションを取り、企業が解散予定であることを知らせます。

1.2 社内に解散公告を掲示します。


2. 会社と人事部門、財務部門とのコミュニケーションの必要性

2.1 会社の人事部門を通じて会社の従業員の状況を事前に把握し、特に以下の特殊な状況に注意しなければいけません:会社に妊娠期間、出産期間、授乳期間の女性従業員、労災認定された従業員、職業病と認定された従業員、職業禁忌症を患った従業員、定年退職年齢に達した従業員、入社後6 ヶ月未満の再入社従業員、労働契約を締結していない従業員などの特殊な状況の従業員がいるかどうか。

2.2 財務との重点的なコミュニケーション

2.2.1 法律に基づいて社員に社会保障、住宅積立金を納付しているか。

2.2.2 会社の財務担当者に給料をどう計算するか、どのようにして財務計算の給料計算に問題がないかどうかを適切な形で抜き取り検査するか通知します。


3. 企業実情に応じた特殊な問題の処理計画の確定

 企業の実情を総合的に考慮し、以下の特殊な問題の解決案を準備します: (1)従業員を解雇する際、いつ当月の給料を支払うべきか(2)従業員の健康診断の問題(3)年次休暇の給料を支払うべきか(4)ボーナス、手当等を支払うべきか(5)従業員が受け取る失業保険の問題(6)従業員に当月の社会社保、住宅積立金を納付すべきか(7)従業員はいつ正式に離職するかの問題(8)従業員は退職の手続きをする必要があるか。


 次回のコラムでは、新型コロナウイルス流行下での企業解散の際の実務及び企業解散に際しての注意点を引き続き深く掘り下げてまいりますので、引き続きご注目ください。

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